カテゴリー「定着支援」の23件の記事

「弁護士ゼロ地域」解消記念シンポジウム

 明日,弁護士会館で,「弁護士ゼロ地域」解消記念シンポジウムが開催されます。

 私も,シンポジウムのコーディネーターとして参加予定です。これまでの弁護士過疎対策(公設事務所,法テラス)の歩みを振り返り,これからの弁護士過疎対策,司法アクセス改善のための方策について意見を交換するシンポジウムにしたいと思っています。

 お時間のある方は,ぜひご参加ください。

日時 2008年7月13日(日)13:30~16:30
場所 弁護士会館2階 講堂クレオ(会場地図)
    千代田区霞が関1-1-3
    地下鉄 霞ヶ関駅(B1-b出口)から徒歩1分
参加費 無料
内容 13:30~14:30 過疎地からの報告
   ・松本 三加 氏(弁護士 紋別ひまわり基金法律事務所初代所長)    
   ・曽我 紀厚 氏(弁護士 元鳥取ひまわり基金法律事務所所長)
   ・太田 晃弘 氏(弁護士 法テラス可児法律事務所所長)

   14:30~16:30 パネルディスカッション
   パネリスト
   ・熊坂 義裕 氏(宮古市長)
   ・菅原 郁夫 氏(名古屋大学大学院法学研究科教授)
   ・篁慶 一 氏(NHK青森放送局むつ報道室記者)
   ・太田 治夫 氏(弁護士 日弁連公設事務所・法律相談センター前副委員長)
   ・松本 三加 氏(弁護士)
   コーディネータ
   ・田岡直博(弁護士 元宮古ひまわり基金法律事務所所長) 
 
主催 日本弁護士連合会
問合せ先 日本弁護士連合会 業務部業務第二課
     (TEL:03-3580-9333)

http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/080713.html

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ニュース 民事執行事件の本庁集約

 東北の地裁が、不動産競売など「民事執行手続き」業務の取り扱いを支部から本庁に集約させている。裁判所は「専門的で迅速な事務処理が可能になる」とサービス向上を強調するが、司法過疎対策に取り組む弁護士会からは「過疎地域の切り捨てにつながる」との声も出ている。

 河北新報は,東北地方の地方裁判所で,民事執行事件の本庁集約が進んでいることを報じています。執行事件の本庁集約が報道されるのはおそらく初めてで,非常に価値がある記事だと思います。

 民事執行事件の本庁集約は,約2年前から全国各地の地方裁判所で問題提起され,弁護士会に意見照会がなされていますが,対応は弁護士会によってさまざまであり,本庁集約が進んでいる裁判所とそうでない裁判所があります。また,民事執行事件以外にも刑事合議事件や破産事件などを本庁に集約している裁判所もあり,「地方裁判所支部の機能縮小」が大きな問題となっています。昨年の第2回全国支部問題シンポジウムでは,この点がテーマの一つになりました。

 最高裁判所の説明によると,「執行事件は当事者の出頭が必ずしも必要的ではなく,不動産競売の売却率を向上させるために,本庁に集約させている支部もある」ということです。最高裁判所は,不動産競売の売却立を向上させるために,BITシステム(物件明細書等インターネット提供システム,Broadcast Information of Tri-set System)を導入しています。これは,インターネットを利用して,いわゆる3点セット等の情報を提供するものです。最高裁判所によると,BITシステムを利用することにより売却率が向上するし,地方裁判所支部にも3点セットの写しを備え付けているので,不都合は生じない,ということです。

 たしかに,インターネットを利用して売却率を高める工夫は必要なことであり,そのための業務の合理化・効率化にはやむを得ない面があることは否定しません。しかし,このシステムは買受人の利便性を高めるためのものであり,申立人や債務者,所有者にとっては必ずしも利便性が高まることにはなりません。支部管内に居住する債権者が競売を申し立てようとするときや,債務者,所有者が競売に対して不服申立を行うときには,地方裁判所の本庁に行かなければならない,という負担が増えることになります(もちろん,高く売却できれば,債務者にとっても利益になる場合があることは否定しません)。

 また,不動産執行以外にも,債権執行や動産執行まで集約されてしまうと,たとえば,婚姻費用や養育費の差押えを申し立てる場合にまで,地方裁判所本庁に行かなければなりません。もちろん,郵便で申し立てることは可能ですが,それができるのは企業や,弁護士が代理人に選任されている場合だけでしょう。ほとんどの市民は窓口で説明を受けなければ申立て自体ができないように思います。たとえば,住民票や戸籍謄本も郵便で取り寄せることはできますが,ほとんどの人は市役所の窓口で取り寄せているのではないでしょうか。

 このように考えると,民事執行事件の本庁集約の背景には,利用者の利便性を高め,売却率を向上させようという合理化・効率化の発想があり,そこで想定されている利用者とは主として企業である,ということが言えるように思います。たしかに,不動産を買い受けようとする企業や,債権を回収するために競売を申し立てる企業にとっては,利便性が高まることは間違いないでしょう。しかし,養育費を支払ってもらえないために元夫の給与の差押えを申し立てる女性や,認知症のため悪質商法の被害に遭い,支払督促が確定してしまい自宅の競売を申し立てられてしまった高齢者にとっては,負担が増大することもまた間違いないのです。

 更に言えば,BITシステムで売却率が向上するのは,地方都市の不動産の中でも流通性の高い不動産であり,多くは商店街やバイパス沿いの空き店舗,住宅地の一戸建てではないでしょうか。そうした物件を都市部のリフォーム会社等が落札して,リフォーム後にパチンコ屋等に転売しているのです。そのため,商店街の中にパチンコ屋がどんどん進出して,商店街の雰囲気が変わってしまった,という声も聞かれています。 他方で,農地など流通性が低く,市場価値の低い物件は,BITシステムを利用しても売却率が向上するとは思えません。こうした物件は,支部で競売を実施し,地元の農家に落札してもらう方が売却率の向上が望めるのではないでしょうか(もちろん,そのためには裁判所をもっと市民に身近で,利用しやすいものに変えていく工夫があわせて必要になるでしょう)。

 つまり,ここでは,BITシステムの導入によって,資産(不動産)の流動性が向上することにより,資産の外部への流出と,それによる農村部の荒廃が問題になっているのではないでしょうか(同じように,農村部では人材の外部への流出もまた大きな問題となっています)。そうであるならば,行き着くところは自由主義経済そのもの(また,それが不可避的にもたらす弊害)の当否であり,不動産の譲渡・貸借や建造物の建築についての公的な規制をどこまで緩和するか(農地法や建築基準法,都市計画法はその規制の一つです),という問題もあわせて考えておく必要がありそうです。

河北新報の記事
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/06/20080606t73025.htm

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ニュース 弁護士ゼロ地域が解消

 全国で唯一、弁護士がいなかった大津地裁長浜支部(滋賀県)管内に2日、弁護士事務所が開業することになり、“弁護士ゼロ”地域が解消される。とはいえ、過疎地域で活動する弁護士を中心に、「弁護士不足」を指摘する声は根強い。また、裁判官不在の地裁支部も少なくないため、「裁判所側の態勢も貧弱。弁護士が増えるだけでは司法過疎は解消しない」と抜本的な問題解決を求める声も上がっている。

 本日,滋賀県長浜市(大津地裁長浜支部)に薮下さんが登録し,弁護士ゼロ地域が完全に解消されました。産経新聞が昨日付けで記事を配信しているほか,本日付けで日弁連が会長談話を発表しています。いずれも,裁判官・検察官の増員,裁判所・検察庁支部の機能強化等の司法基盤の整備の推進が必要不可欠であるという内容で,正鵠を得た指摘であると思います。

 明日には,より多くのマスコミで報道されることでしょうから,それを見て更にコメントを付けたいと思います。

産経新聞の記事
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080601/trl0806012106001-n1.htm

日弁連 「弁護士ゼロ地域」の解消に関する会長談話
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080602.html

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ニュース 柳川に三島弁護士が開業

 裁判所があるのに弁護士が1人もいない「弁護士ゼロ地域」だった柳川市に今月、三島正寛弁護士(38)が開業した。これにより、全国の弁護士ゼロ地域は6月に解消される滋賀県の1カ所だけとなった。

 日弁連は,地方裁判所支部の管内に弁護士が一人もいないか,一人しかいない地域を「ゼロワン地域」と呼んで,公設事務所や法律相談センターの設置を進めて来ましたが,本年5月に福岡県柳川市に三島弁護士が改行したことで,残るワン地域は,滋賀県長浜市だけになりました。

 福岡地方裁判所支部は,9つの支部がありますが(飯塚,久留米,小倉,直方,柳川,大牟田,八女,行橋,田川),これは,神戸地方裁判所と並んで全国最多です(なお,神戸地方裁判所の支部は,尼崎,姫路,豊岡,洲本,伊丹,明石,柏原,社,龍野)。柳川のゼロ地域が解消されたことで,福岡地方裁判所のワン地域は,柳川と八女の2つになりました。

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20080528ddlk40040734000c.html

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ニュース 自殺防止と弁護士過疎問題

 07年度の県民生活センターと各地方振興局の消費生活相談室に寄せられた多重債務の相談件数が、4年ぶりに増加したことが同センターのまとめで分かった。県は今年度から全国的にも多い年間300回を超える弁護士無料相談会を開催。その背景には弁護士過疎地域の県北や沿岸で、借金苦などを理由に自殺する人が多い実態があり、同センターでは「まず相談を」と呼びかけている。

 「弁護士過疎と自殺率には相関関係があるのではないか」という指摘が以前からあります。自殺率が高い秋田,岩手,青森はいずれも弁護士が少なく,岩手県の中でも沿岸(釜石,大船渡,宮古)と県北(二戸,久慈)は,弁護士過疎地域だからです(ただし,県民性や高齢化も関係していることは間違いありません)。自殺の原因・動機のうち,経済生活問題が相当数を占めることを考えると,両者の間には相関関係があると考えるべきでしょう(現場の弁護士の多くが,そのような実感を持っていると思います)。

 私は,以前,「弁護士過疎が解消されると,自殺率が低下するのではないか」という仮説を立てて,それを実証しようと試みたことがあります。しかし,自殺率の統計は数年前のものしかなく,ここ数年で急速に進展した弁護士過疎対策との相関関係を分析するには,データが足りませんでした。しかし,あと数年もすれば,その相関関係を分析することが可能になるはずであると確信しています。

 これまでは,自殺防止の取り組みと,多重債務問題や弁護士過疎問題の取り組みが十分に連携できていませんでした。しかし,今後は,弁護士が地方自治体や保健師,医師と連携して,自殺防止の取り組みに積極的に参加することが必要でしょう。地域住民の「生活」と「生命」を守るために,行政と民間あるいは医療・福祉と司法の壁を越えて,専門家と自治体の連携が求められているように思います。

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080517-00000057-mailo-l03

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ニュース 小笠原法律相談

 弁護士が1人もいない“弁護士過疎地”の伊豆諸島・小笠原諸島で、7年間にわたり法律相談を行っている弁護士がいる。東京・四谷に事務所を構える小海(こかい)範亮(のりあき)弁護士(36)。費用はほぼ自己負担で、渡航はすでに60回以上に及ぶ。「離島の住民の不利益を見過ごせない」と、都心に拠点を置きながら「島弁」としての活動を続けている。

 東京は,全国の弁護士の約半数が集中しており,弁護士「過密地域」です。しかし,その東京にも,弁護士「過疎」地域はあります。伊豆諸島や小笠原諸島がその代表例です(そのほか,多摩地域の青梅簡裁の管轄地域は,弁護士過疎地域と言ってもよいでしょう)。

 八丈島に簡易裁判所と家庭裁判所の出張所がありますが,その他の島には裁判所もなく,弁護士もいません。そのため,小海先生のグループが,小笠原諸島での法律相談を行って来ました。渡航は延べ60回以上に及ぶとのことであり,頭が下がります。

 私も弁護士になって1年目に,八丈島の刑事事件を受任したことがあります。否認事件であったため,飛行機で八丈島に通い,接見を繰り返しました。羽田空港から八丈島までは1時間程度であり日帰りが可能ですが,経済的にも体力的にも厳しかったことを覚えています(検察官は,ヘリコプターを使って八丈島に飛び,手書きで供述調書を作成していました)。

 日弁連や法テラスばかりが注目されがちですが,こうした自主的な活動が取り上げられるのはいいことですね。小海先生,がんばってください。応援しています。

 産経新聞の記事
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080507/trl0805072145003-n1.htm

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ニュース 岩手銀河法律事務所

 岩手弁護士会には現在69人の弁護士が所属するが、ほとんどは盛岡に集中。県北沿岸や奥州市などの県南の大半は弁護士が少ない「司法過疎」の地域だ。

 それだけに松本さんにも次々と案件が舞い込む。まだ仕事に慣れていないため、書類作成も人の3倍は時間がかかる。休日出勤も当たり前。仕事の魅力や楽しさを感じる精神的な余裕がない。

 しかし、弁護士のアドバイス一つで依頼人の人生を左右しかねない。だから頑張れる。「この仕事は人が一番困っているところに携われる。社会的に意義があるんだ」。若き「イソ弁」はその思いを胸に今日も激務に励む。

 岩手県奥州市の新人弁護士,松本さんの奮闘を報じる毎日新聞の記事です。ひまわり,法テラスに赴任した弁護士の記事は多いですが,一般の勤務弁護士(イソ弁)を取材した記事はめずらしいですね。

 岩手銀河法律事務所は,岩手県で唯一の弁護士法人であり,本店は水沢(奥州市)ですが,盛岡と大船渡に支店を展開しています。松本さんも,将来は,ひまわりか法テラスに赴任する予定と聞いていますが,楽しみです。がんばってください,応援しています。

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/area/iwate/news/20080508ddlk03040059000c.html

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ニュース 「弁護士ゼロ地域」解消へ

 裁判所があるのに弁護士が一人もいない「弁護士ゼロ地域」が解消されることになった。福岡地裁柳川支部管内で今月1日、弁護士が事務所を開き、最後に残った大津地裁長浜支部管内でも6月に弁護士が開業する。開業資金の貸し付けなどの施策を講じてきた日本弁護士連合会は今後も地方の弁護士育成を進め、都市部に偏在する状況の緩和を目指す。

 本年6月2日に「弁護士ゼロ地域」が解消される予定です。「弁護士ゼロワン地域」とは,地方裁判所支部単位で弁護士が0又は1人の地域のことをいいます(なお,韓国では「無弁村」という言葉を使っているそうです)。

 「弁護士ゼロワン地域」という言葉がはじめて公式に使われたのは,1993(平成5)年に開催された日弁連の第8回業務改革シンポジウム(香川県高松市)です。そこで発表された「弁護士ゼロワンマップ」は,全国の地裁支部の37%に相当する74支部は「弁護士ゼロワン地域」であると指摘し,マスコミで「法の隙間」として報道されるなど,大きな反響を呼びました(なお,全国の地方裁判所支部は203か所あります)。

 日弁連は,1996(平成8)年の定期総会において,「弁護士過疎地域における法律相談体制の確立に関する宣言」(「名古屋宣言」と呼ばれています)を採択し,「弁護士過疎・偏在問題の解決のために全力をあげて取組むことを決意するとともに,当面の措置として5年以内に,いわゆる0~1地域を中心として緊急に対策を講ずべき弁護士過疎地域に法律相談センターを設置するなど,市民が容易に弁護士に相談し,依頼することができる体制を確立するよう最善を尽くす」と宣言しました(なお,1996(平成8)年4月の弁護士ゼロ地域は47か所,ワン地域は31か所でした)。

 日弁連は,弁護士過疎地域を解消するための活動資金として,1999(平成11)年に東京弁護士会から寄付を受けて「ひまわり基金」を設置し,同年の定期総会において日弁連の全会員から毎月1000円の特別会費の徴収を採択しました(その後,特別会費の徴収額は,1500円,1400円に増額,減額されました)。2000年の定期総会において「司法サービスの全国地域への展開に関する決議」を採択し,それに基づき,2001年に「司法サービスの全国展開に関する行動計画」を策定しました。そして,ゼロワン地域を中心とする弁護士過疎地域に法律相談センター,公設事務所の設置を進めてきました。

 また,2006(平成18)年には日本司法支援センター(法テラス)が業務を開始し,司法過疎対応地域事務所(法30条1項4号所定の業務を行うので,「4号業務対応地域事務所」と呼ばれています)を開設し,常勤スタッフ弁護士を配置するようになりました。日弁連は,そこでも,常勤スタッフ弁護士を確保,養成及び支援する重要な役割を担って来ました。

 更に,2007(平成19)年には「弁護士偏在解消のための経済的支援」のパイロット事業が承認され,2008年(平成20)年1月から正式に,弁護士偏在地域に独立開業する弁護士(偏在対応弁護士)の支援及び偏在対応弁護士を養成する弁護士に対する支援を開始しています。

 こうした日弁連の弁護士過疎対策により,弁護士過疎対策は大きく進展しました。現在,法律相談センターは全国に308か所(そのうち,ひまわり基金の援助を受けているセンターは138か所),弁護士常駐型公設事務所は延べ86か所(そのうち,定着した弁護士常駐型公設事務所は15か所),ひまわり基金の定着支援は17件(そのうち,弁護士法人の定着支援は2件)法テラスの司法過疎対応地域事務所は15か所,拠点事務所は1か所,独立開業支援を利用して定着した弁護士は5名にのぼります。

 それにともない,「弁護士ゼロワン地域」は急速に減少し,2008(平成20)年4月1日現在,「弁護士ゼロ地域」は2か所,「弁護士ワン地域」は22か所となりました。残された2つの「弁護士ゼロ地域」のうち,福岡地裁柳川支部と大津地裁長浜支部についても,本年5月及び6月を目途に定着する弁護士が現れる予定です(福岡地裁柳川支部には,5月1日に弁護士登録が行われました)。そして,最後の弁護士ゼロ地域である大津地裁長浜支部にも,薮下さんが独立開業されることになりました。

 「弁護士ゼロワンマップ」の発表から15年,名古屋宣言から12年を経た今年,「弁護士ゼロ地域」は解消されることになったのです。全国のすべての地方裁判所支部には最低でも1人は弁護士がいるということであり,きわめて大きな意義があると思います。

 日弁連で弁護士過疎問題に取り組む田岡直博弁護士は「法科大学院との協力なども考えていきたい」と話している。

 ただ,これですべての問題が解決したわけではありません。

 依然として,新人弁護士の約50%は東京に就職しており,弁護士の大都市集中傾向は変わっていません。地方に定着(独立開業)する弁護士が現れることは理想的ですが,地元ならではのやりづらさもあります。家族の理解,生活の不安等から定着が難しい地域もあるでしょう。いったん定着しても,その後に転出したり,高齢や病気のために廃業してしまうこともあるかもしれません。

 ひまわり基金公設事務所や法テラスのスタッフ弁護士は有効な方策ですが,あくまで任期制の事務所ですから,後任の弁護士を確保し続けなくてはなりません。司法修習生やロースクールの学生を,ひまわり基金公設事務所や法テラスで受け入れることも考える必要があるでしょう。また,事務所が増えてくると,当然採算が取れないために日弁連等による資金援助が必要な事務所も出てくるでしょう。制度を安定的に運営するためには,「人」と「金」の問題は避けて通れません。

 また,弁護士過疎地域のとらえ方も,変えていく必要があるでしょう。地方裁判所支部単位での「弁護士ゼロワン地域」だけを問題にするのではなく,独立簡易裁判所・家庭裁判所出張所の所在地の中にも,弁護士が必要な地域もあるでしょう。そもそも裁判所の配置や管轄が,地域の実情に合致していない,という問題も以前から指摘されています(たとえば,水戸地裁麻生支部など)。弁護士が2人いれば足りる,ということではなく,実質的に地域住民のニーズに応えられることが重要です。

 弁護士の中には,さまざまな理由から「法テラスと契約しない」「刑事事件はやらない」「債務整理はやらない」という弁護士もいます。また,女性の弁護士の多くは大都市や県庁所在地に集中しており,女性弁護士が不足している,という問題もあります(女性弁護士の大都市集中傾向は男性のそれより顕著であり,函館弁護士会のように,女性弁護士が1人もいない単位弁護士会もあります)。「弁護士ゼロワン地域」を解消したら終わり,ということではなく,地域住民のニーズに応える人的・物的な体制を整備することが必要でしょう。

 そのためには,弁護士を増やすだけでは不十分であり,ひまわり基金や法テラスなどの施策と同時に,裁判所・検察庁や地方自治体の体制等を充実させていくことが必要になります。過疎地の地方裁判所支部の多くは裁判官が常駐しておらず,本庁や近隣の支部から出張して来ています。そのため,開廷日が週1回,週2回という支部が少なくありません。もっとも開廷日が少ないのは,松江地裁西郷支部で,年8回(3か月に2回)しか開廷されていません。

 また,地方自治体の法律相談事業も,厳しい財政状況のため縮小傾向にあります。多重債務や高齢者・障害者問題など,弁護士と自治体の連携が求められる分野はまだまだあります。限られた予算と人員を活用して,効率的に司法システムを機能させるための工夫が求められることになるでしょう。電話会議やテレビ電話会議システム等の技術も活用すべきでしょう。裁判官不足の問題について言えば,弁護士任官や非常勤裁判官が,自治体の法律相談事業については,弁護士と各部署の連携・協力(ネットワーク)が,ひとつの鍵になるはずです。

 このように残された課題は少なくありませんが,それでも,日弁連・法テラスの弁護士過疎対策は大きな成果をあげてきたことは間違いありません。これまでの歩みを後戻りさせることなく,今こそ,これからの弁護士過疎対策のあり方を展望することが求められている,と言うべきでしょう。

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080508ddm012040027000c.html

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ニュース 美濃加茂に法律事務所が開設

 美濃加茂市で初の弁護士事務所「みのかも法律事務所」が今月、同市太田町に開所し、2人の弁護士が活動を始めた。同市を含む岐阜地裁御嵩支部管内は弁護士が足りない状態が続いており、「法律をより身近に感じてもらえる活動を」と意気込んでいる。

 岐阜県美濃加茂市に「みのかも法律事務所」が開設されました。開設されたのは,佐久間弁護士と,林弁護士のお二人です。

 美濃加茂市のある岐阜地裁御嵩支部は,長らく弁護士1人地域でした。しかし,昨年,可児市に法テラス可児法律事務所が開設され,太田さんと山内さんが着任されました。みのかも法律事務所が開所されたことで,管内の弁護士は6人まで増えました。御嵩支部の弁護士過疎は,かなり改善されたと言えるでしょう。

 ただ,可児支部の事件だけでなく,お隣の多治見支部の国選事件も対応しないといけません。多治見支部は,国選弁護の契約率がきわめて低いことで知られています。弁護士は8人いますが,誰一人国選弁護契約をしていません。全国的にも,非常にめずらしい地域です。そのため,現在は可児支部と本庁の弁護士が,多治見支部に通って国選弁護事件を担当しているようです。

 2009年には,裁判員制度が始まり,被疑者国選弁護の対象事件が拡大されます。多治見支部だけで,100件以上の事件が発生すると予想されています。現在,日弁連は,法テラスと協力して,被疑者国選の対応態勢の整備を進めています。もし対応できない地域が出れば,日弁連,弁護士会が信用を失うだけではありません。被疑者・被告人の権利がないがしろにされる,ということです。そうしないために,あと1年全力をあげて取り組まなければならないでしょう。

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/area/gifu/news/20080403ddlk21040339000c.html

岐阜新聞の記事
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20080404/200804040839_4453.shtml

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ニュース やまびこ基金法律事務所が開設

 日本弁護士連合会と東北弁護士会連合会、仙台弁護士会が連携し、弁護士過疎地域への赴任者を養成する都市型公設事務所「やまびこ基金法律事務所」(仙台市青葉区)を1日開設するのを前に、日弁連の平山正剛会長が31日、仙台市で記者会見し、「来年は裁判員制度や容疑者国選弁護人制度が始まり、弁護士需要が激増する。力を付けた若手弁護士が過疎地に定着してほしい」と述べた。

 3月31日,やまびこ基金法律事務所(宮城県仙台市)の開所式が開催され,私も参加して来ました。

 やまびこ基金法律事務所は,日弁連,東北弁護士会連合会,仙台弁護士会が支援して設立する法律事務所です。いわゆる「都市型公設事務所」としては,全国で11番目になります。また,昨年12月の臨時総会で決議された「弁護士偏在解消のための経済的支援」から援助を受けて設立された拠点事務所としては,全国初です。その意味で,日弁連にとっても大きな意味があります。

 所長に就任された泉山先生は,元仙台地裁の所長です。支援委員の弁護士のサポートを受けて,若手弁護士の指導にあたることになります。すでに宮城県登米市に独立開業予定の及川弁護士の入所が決まっており,今年9月以降,60期の司法修習生が複数名入所予定である,ということです。

 東北は多くの弁護士過疎地域を抱えており,19のひまわり基金法律事務所があります。ゼロワン地域は,仙台地裁登米支部だけですが,及川弁護士が独立開業されれば解消される予定です。しかし,弁護士が2人いれば十分というわけではありません。むつ簡裁(青森県むつ市),久慈簡裁(岩手県久慈市)など独立簡裁所在地を中心に,まだまだ弁護士が不足している地域はあります。また,青森地裁八戸支部,福島地裁会津若松支部,山形地裁鶴岡支部など,国選弁護の事件数に比べて弁護士が不足している地域もあります。ひまわり基金法律事務所の後任も養成しなければなりません。

 やまびこ基金法律事務所には大きな期待が寄せられています。今後,仙台弁護士会はじめ東北の弁護士会の支援を受けて,大きく発展されることを祈念しています。

河北新報の記事
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/04/20080401t13017.htm

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20080401ddlk04040297000c.html

共同通信の記事
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2008033101000605.html

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ニュース 山形県弁護士会が弁護士を誘致

 県弁護士会は今年1月、「増員問題対応プロジェクトチーム」を発足させ、本格的な確保策に乗り出した。

(中略)

 県弁護士会の遠藤会長は「弁護士を目指す多くの人には、『田舎では食べていけないのでは』という偏見があるように思える。これまでは山形の魅力が全国に発信できていなかった。会として独自にアピールし、弁護士を誘致する必要がある。行政にも現在の状況を理解してもらい、県の魅力を全国にアピールしてもらいたい」と話している。

 山形県弁護士会は,今年1月,増員問題対応プロジェクトチームを発足させ,弁護士の誘致に乗り出したそうです。

 法曹人口の急激な増加にともない,都市部では弁護士の過剰が問題になっていますが,他方で,地方の単位弁護士会では,裁判員裁判や被疑者国選など公益的事件の担い手が不足しています。山形県弁護士会の取り組みは,地方から積極的に弁護士を誘致するもので,画期的な意義があると思います。山形県弁護士会のホームページの「山形で弁護士をしてみませんか」は,非常に分かりやすく,充実した内容になっています。

 また,遠藤会長は,「行政にも現在の状況を理解してもらい、県の魅力を全国にアピールしてもらいたい」と言っていますが,そのとおりだと思います。これまでの自治体は,医師の誘致には積極的でも,弁護士の誘致には消極的でした。弁護士が「社会生活上の医師」であるなら,弁護士を誘致しようという自治体があってもいいはずです。自治体が弁護士を誘致している例としては,鳥取県が弁護士過疎地域に開業する弁護士に奨励金(100万円から200万円)を交付していることが有名です。また,岩手県も「岩手県の弁護士過疎の状況」というページを作成し,Uターン,Iターンの情報を掲載しています。

 どうせ地方に赴任するなら,歓迎される単位弁護士会に赴任する方がいいに決まっています。単位弁護士会と自治体が協力して,地方の魅力を発信することにより,地方で開業しようという弁護士は確実に増えるのではないでしょうか。山形県弁護士会の取り組みの成果が期待されます。

読売新聞の記事
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20080310-OYT8T00595.htm

山形県弁護士会
http://www.yamaben.or.jp/

鳥取県 司法制度改革に関する鳥取県の取り組み
http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=48032

岩手県 岩手県の弁護士過疎の状況
http://www.pref.iwate.jp/~hp010301/houmu/bengoshikaso.html

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桜丘法律事務所 採用面接(新61期)

 桜丘法律事務所では,弁護士の採用面接を,1月26日(土),27日(日)に行います。対象は新61期司法修習生で,採用予定は1名です。ひまわり基金の公設事務所か,法テラスのスタッフ弁護士に就任する意思があることが条件です。熱意ある司法修習生の方々のご応募をお待ちしています。

 新61期の弁護士採用面接は2008年1月26日、27日の両日に行う予定です。新61期からの採用予定は1名。1年程度のトレーニングの後、事務所の選択に従って法テラス又はひまわり公設事務所のいずれかに赴任する意思のある方を採用します。

 面接を希望される方は2008年1月7日以降1月24日までに履歴書(電子メールアドレス必須)と志望理由書(書式自由)をお送り下さい。送付(送信)方法は、郵送、FAX、電子メールのいずれでも結構です。折り返しお出で頂く時刻を指定させていただきます。

 電子メール送信先アドレスishimaru@sakuragaoka.gr.jp 

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京都新聞「長浜に待望の弁護士事務所『ゼロ地区』解消へ6月開業」

 裁判所があるのに常駐の弁護士事務所がなく、「ゼロ地区」と呼ばれる大津地裁長浜支部管内に今年6月、新しい事務所が開業する。司法過疎の対策として、日弁連が新設した支援制度を適用した全国初のケースで、近畿で唯一の「ゼロ地区」が解消することになる。

 日弁連は,1993年に業務改革シンポジウム@高松で「ゼロワンマップ」を発表し,1996年に定期総会@名古屋で「弁護士過疎地域における法律相談体制の確立に関する宣言(名古屋宣言)」を発表し,1999年に弁護士過疎解消のための「ひまわり基金」を設置するなど,地方裁判所支部の管内に弁護士が0又は1の地域を「ゼロワン地域」と呼んで,弁護士過疎対策を進めてきました。

 「ゼロワンマップ」が発表された1993年当時,地方裁判所支部203庁のうち,管内に弁護士が全くいない「ゼロ地域」は50か所,一人しかいない「ワン地域」は24か所あり,実に地方裁判所支部の36%を占めていました。また,これを地方裁判所支部に対応する市町村単位で見ると,全国面積の27%,全人口の8%を占めるとも言われていました。

 しかも,これは地方裁判所支部の管轄を単位としていますので,地方裁判所支部がない市町村(たとえば,簡易裁判所・家庭裁判所の所在地)は全く考慮の対象外でした。そこで,最低限,地方裁判所支部の管内には弁護士が2人はいる状態にしよう(弁護士が2人いなければ,早い者勝ちになってしまいますから)というのが日弁連の政策目標であったわけです。

 日弁連の取り組みは,1999年のひまわり基金の設置(公設事務所と定着支援の双方を含む。),2000年の公設事務所(ひまわり基金法律事務所)の開設,2006年の日本司法支援センター(法テラス)の発足と4号業務対応型地域事務所の設置,そして2007年の「弁護士偏在解消のための経済的支援策」と進められ,現在では,ゼロ地域は3か所,ワン地域は24か所まで減少しています(なお,記事にある「日弁連が新設した支援制度」とは「弁護士偏在解消のための経済的支援策」のことですが,「全国初」というの「定着準備支援制度」という制度の利用が全国初という意味です。)。

日弁連・弁護士過疎対策・法律相談事業の取り組み
http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/kaso.html

 その残されたゼロ地域の一つである滋賀県長浜市(大津地裁長浜支部)に,今年6月を目途に法律事務所が開設され,弁護士が常駐することになりました。法律事務所を開設するのは,東京パブリック法律事務所出身の薮下さんです。藪下さんは,東京パブリック法律事務所で,公設事務所や法テラスに赴任するために経験を積んでいましたが,長浜市に弁護士が定着しないだけでなく,公設事務所や法テラスの設置も進まないことを懸念して,自ら独立開業することを決意された,とのことです。

 地元弁護士会が公設事務所や法テラスのスタッフ弁護士の誘致に消極的だったのは,隣接する彦根市(大津地裁彦根支部)に近いことや,大津市内に本所のある弁護士法人が非常駐の支所を開設しているからだと聞いています。このように弁護士法人の支所が開設されている地域は,先日法テラスの4号業務対応型地域事務所が開設され,ゼロワン地域を脱した奈良県五條市(奈良地裁五條支部),残されたゼロ地域の一つである大分県杵築市(大分地裁杵築支部)など,他にも多数あります(現在,日弁連のホームページでは,弁護士法人の支所が開設されている地域を赤字で表示しています。)。

 弁護士法人が支所を開設することが認められた理由の一つが弁護士過疎偏在対策にあった以上,このように都市部の弁護士法人が過疎地に支所を開設して,過疎地のリーガルサービスに応えようとする姿勢は高く評価されるべきですし,決して公設事務所や法テラスの方が優れているというつもありはありません。弁護士法人には,大津と長浜のどちらでも対応できるというメリットがあり,企業や相談者のリーガルサービスによりよく対応できる場合があることは間違いありません(宮古の例でいえば,宮古で相談を受けた事件の管轄が盛岡地裁の本庁や遠野支部になる場合や,宮古で相談を受けた人の紹介で,盛岡や花巻に住んでいる人の相談を受けなければならない場合があります。こういうときに,私は自分が盛岡や遠野に出張するか,盛岡や花巻の弁護士を紹介していましたが,弁護士法人であれば便利だと感じていました。)。

 しかし,やはり弁護士法人が一つしかないという状態は決して望ましいものではありません。企業や相談者にとっては選択肢が一つしかないよりは,複数ある方がよいに決まっています(相馬ひまわり基金法律事務所の葦名さんは,よく「私を選んだのではなく,私しか選べなかった相談者の期待を裏切らないよう」と言っていましたが,こうした謙虚さを忘れてはならないでしょう。)。また,弁護士が増えればその分だけ潜在的なリーガルニーズが喚起されると考えられますから,決して,弁護士法人の「仕事を奪う」ようなことにはならないはずです。高齢者や障害者など遠くに相談に行くことが難しい方々や,遠方の弁護士を依頼するための費用を用意できない方々もいらっしゃるはずです。じっさい,宮古は公設事務所が開設されて,はまなす法律事務所の横道先生と私の二人にになりましたし,釜石は藤原先生と瀧上さんの二人になりましたが,どちらも多忙を極めています。

 また,やはり弁護士が非常駐の事務所と,常駐の事務所では,後者の方が望ましいということです。この点については,複数の弁護士が交替で相談を受ける「法律相談センター」と,一人の弁護士が常駐して相談を受ける「公設事務所」では,後者の方が地域のリーガルニーズに対応する効果が大きいという調査結果があります(菅原郁夫「弁護士過疎地域における法律相談センターおよび公設弁護士事務所の機能に関する実態調査」名古屋大学法学論集207号79頁)。宮古でも公設事務所が設置されたことにより,法律相談センターの時代と比べて相談が3倍,事件は20倍に増えました。

 加えて,弁護士が常駐していることには,相談を受任する以上の意義があるはずです。複数の弁護士が交替するのではなく,一人の弁護士が常駐して行政の相談員から紹介を受けたり,関係機関と連携するなかで,相談のネットワークが生まれることが期待されるからです。東京大学社会科学研究所の佐藤岩夫先生は,このような現象を分析され,公設事務所や法テラスの弁護士が果たしている役割を「相談ネットワークの組織者」であると同時に「相談機関のメタ相談者」であると位置づけていましたが,弁護士がそのような役割を果たすためには,地域に常駐していることが不可欠であると考えられます(ただし,樫村先生の「司法過疎とその対策」日本法社会学会『訴訟機能の拡大と政策形成』は,公設事務所の弁護士の個性によって,ネットワークの形成に差があることを指摘しています。)。

 このように考えると,弁護士法人の支所が開設されているからと言って,リーガルニーズに十分対応できている,ということはできないのではないでしょうか。ましてや,弁護士が増えると仕事の奪い合いになるとかという批判に至っては,いったいどこにそのような実例があるのかと聞いてみたくなります。これまで,日弁連は全国各地の80か所以上に公設事務所を開設し,法テラスは10数カ所の4号業務対応型地域事務所を開設して来ましたが,ほとんどの事務所は十分な利益をあげています。また,滋賀県内でもたくさんの司法書士が訴訟関連業務を取り扱い,司法書士事務所を経営しているのであって,その分だけ弁護士が仕事を「奪われている」という見方さえ成り立ち得るのです。

 長浜に法律事務所を開設する藪下さんも,最初から相談がたくさん来るとか,利益があがるということはないかもしれませんが(事務所の経営が軌道に乗るには,それなりに期間が必要ですから),遠方にに相談に行くことができない高齢者・障害者の方々や,遠方の弁護士に依頼する金銭的に余裕がない方々など,藪下さんを必要としている市民がたくさんいるはずです。ぜひ,そうした方々のリーガルニーズに応え,当地での信頼を勝ち得てもらいたいと思います。

京都新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080101-00000005-kyt-l25

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ニュース 全国一斉多重債務者相談ウィーク

 内閣に設けられた「多重債務者対策本部」では、全国の自治体における相談窓口の整備を一層促進し、各地域の多重債務者が相談窓口を訪れる一つのきっかけとするため、本年12月10日~16日に「全国一斉多重債務者相談ウィーク」を設けることとしました。

 「全国一斉多重債務者相談ウィーク」は、多重債務者対策本部、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会が主催し、相談ウィークの期間中、都道府県と当該都道府県の弁護士会及び司法書士会が共同で多重債務者向けの無料相談会を開催いたします。

 金融庁のホームページに,全国一斉多重債務相談ウィークのお知らせが掲載されています。期間は今月10日から1週間で,弁護士会・司法書士会が共同の無料相談が開催されます。開催場所は金融庁のホームページに掲載されていますが,たとえば岩手県の場合には,県民生活センターをはじめ,岩手県内の地方振興局で開催が予定されているようです。

金融庁 全国一斉多重債務者相談ウィーク
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/week.html

産経新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000109-san-bus_all

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毎日新聞 県消費生活条例:消費者金融への是正措置求める 県に弁護士ら

 山形市内の消費者金融業者3社が借金の一括返済を強要しているとして、弁護士ら5人は4日、県消費生活条例に基づき、3社に対して是正措置を取るよう斎藤弘知事に申し出た。申し出は昨年7月の同条例施行後初めて。

 毎日新聞によると,山形県弁護士会の弁護士が県消費生活条例に基づき,是正措置をとるよう申し出たと報じられています。申し出の対象となっているのは,「借金返済のわずかな遅れを理由に消費者金融業者から突然,一括返済を迫られるというもの」で「一斉に電話での取立を始めた」ということです。弁護士会には,100件をこえる相談が寄せられているそうです。

 この業者は,おそらく東北各県にグループ展開する某消費者金融業者のことでしょう。この業者の特徴は,50万円ないし100万円を貸し付け,出資法の上限利息+アルファ(50万円の場合は1万3000円,100万円の場合は2万6000円)を支払わせる約定になっており,必ず保証人を付けるようになっていることです。約定の利息+アルファの返済では,完済までに30年近くを要し,必ず保証人に迷惑がかかる仕組みになっています。

 数年前から,免許証を返してもらず契約を強要されたとか,知人に電話を掛けて保証人を付けるよう強要されたとか,某百貨店と同名であるため誤信させられたという相談が寄せられていました。岩手県では,社員が暴力的な取り立て行為を行って,逮捕されたという事件もありました。今年に入ってからは,わずかな遅れを理由に一括返済を求められる事例が急増しているそうです(返済日が休日にあたる場合は前日に返済するという約定があるため,休日後に返済した場合に数日の遅れが発生します。)。

 こうした場合,形式的には遅滞が発生していることは否定できませんから,一括返済を拒絶するのは容易なことではなく,債務者や保証人にとっては訴訟などで争うこと自体が負担になるため,弁護士・弁護士会も対応に苦慮しているようです。今回の山形県弁護士会の取り組みは,東北各県の弁護士会にとっても参考になるのではないでしょうか。

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000074-mailo-l06

山形新聞
http://yamagata-np.jp/newhp/kiji_2/200712/04/news20071204_0057.php

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第2回全国支部問題シンポジウム

 12月1日に「第2回全国支部問題シンポジウム」が開催されます。全国各地の「地方裁判所支部」の問題を議論し,支部を充実させるためにどうすればよいかを考えるシンポジウムです。私もパネリストの一人として,盛岡地裁宮古支部の実情について発言する予定です。

日時  2007年12月1日(土)午後1時30分から午後4時30分

場所  弁護士会館17階1701会議室

主催  裁判官制度改革・地域司法計画推進本部

進行 (1) 基調報告と問題提起

    (2) パネルディスカッション等 

     佐藤岩夫氏(東京大学社会科学研究所教授)
     土屋美明氏(共同通信社論説委員)
     安東章氏(最高裁事務総局総務局第一課長)
     田岡直博氏(弁護士,前宮古ひまわり基金法律事務所所長)
     飯孝行氏(弘前大学人文学部準教授)

 日弁連は,これまで弁護士過疎地に公設事務所の設置を進めてきました。それにより,弁護士過疎地にも需要があることが確認されました。しかし,弁護士が増えても裁判所が充実しなければ,司法アクセスは改善されません。裁判所・検察庁の人的物的体制(司法基盤の整備)を充実させることが次の課題として浮かび上がって来ました。

 考えてみれば,司法制度改革により導入された新制度のほとんどは,都市部を対象としています。裁判員裁判などの国民の司法参加の制度,労働審判,知財高裁などの専門訴訟への対応強化の制度,更には法科大学院(ロースクール)もほとんどが都市部に集中しています。東北では,仙台にしか法科大学院はありません。これでは,都市部と地方の格差が司法制度の面でも進行し,地方の住民はますます司法制度にアクセスしづらくなってしまうことでしょう。

 こうした時期に,地方裁判所支部の問題を議論するためのシンポジウムが開催されることは大きな意味があると思います。また,最高裁判所にご出席いただけることも画期的なことです。法曹三者の内輪の議論ではなく,利用者である国民の視点に立って,どのような裁判所,司法制度が求められているのかを議論する,建設的なシンポジウムにしたいと考えています。

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ニュース 「偏在」解消へ事務所開業資金など援助

 弁護士が都市部に集中し地方では足りない「弁護士偏在」の解消を目指し、日本弁護士連合会が経済的支援策に乗り出す。

 個人事務所を開いて地方に定着する弁護士に開業資金を貸したり、こうした弁護士の養成に協力する事務所に費用の一部を助成する内容で、5年間で約10億円の予算を見込む。来年1月の本格実施に先立ち、第1号の個人事務所が今月、福島県いわき市に開設された。日弁連は「全国津々浦々まで弁護士にアクセスできるようにしたい」と話している。

(毎日新聞)

 日弁連は,2007年8月の理事会で「弁護士偏在解消のための経済的支援策」のパイロット事業を承認し,12月の臨時総会に本制度の提案をする予定です。この制度は,弁護士偏在地域(弁護士1人当たりの人口が3万人以上の地域など)に定着する弁護士を支援するため,事務所開設費用や運営費用を援助する制度です。また,定着する弁護士を養成するための養成事務所や各ブロックの拠点事務所を支援する制度も含まれています。

 「ひまわり基金」の弁護士過疎対策が「過疎地域」(ゼロワン地域が中心)を対象としているのに対して,この制度は「偏在地域」を対象としており,適用囲が広くなっています。また,支援の目的も「ひまわり基金」は公設事務所の設置が中心でしたが,この制度は「定着」を目的としています。更に,支援の内容も「ひまわり基金」は援助でしたが,この制度は「貸付」であり返還が原則になっています。

 近年は大量増員の影響か地方に定着を希望する弁護士も増えているようです。法テラスや公設事務所だけでなく,「Uターン」「Iターン」など多様な支援メニューを用意することで,複合的な弁護士過疎・偏在対策を構築することが求められているといえるでしょう。

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071027-00000046-mai-soci

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朝日新聞「弁護士、地方の時代? 日弁連の就職説明会は大盛況」

 日本弁護士連合会が21日、これから司法修習を受ける修習生らを対象に大規模な就職情報説明会を催した。合格者急増で「就職難」が懸念されている修習生。地方の弁護士不足を解消したい日弁連。実際の就職は1年以上先だが、東京・霞が関の会場は大盛況だった。

 日弁連の就職説明会は,大盛況だったようですね。私は,20日のシンポジウムは残念ながら出席できなかったのですが(東北弁連主催の現行61期向けの就職説明会に参加していました。),21日の就職説明会ではひまわりのブースを担当しました。200名以上の修習生の参加があり,ひまわり・法テラスに対する関心が高いことに驚きました。

 03年から2年間、北海道の法律事務所長を務めた女性弁護士は「『過疎地に行くなんて変わり者』という目で見られたが、今や一つの選択肢としてすっかり定着した」と話した。

 就職問題がささやかれていますが,過疎地の事務所はどこも多忙をきわめています。宮古の事務所も3年間で1500件以上の相談を受け,1200件以上を受任しましたが,今でも相談の予約は1か月待ちの状態です。したがって,「仕事」があることは間違いありません。

 不足しているのは「就職先」です。せっかく「過疎地で働きたい」「公益的な仕事をしたい」という司法修習生が増えているのに,それを受け入れる事務所がないのです。

 地方の弁護士会は,長年新規登録が少なかったため,高齢の弁護士と,若手の弁護士に二極化しています。そのため,勤務弁護士を受け入れる事務所が少ないのです。したがって,短期的には,就職先が不足し,「就職問題」が生じることは避けられません。

 修習生の中には,いきなり独立(即独)を目指す人もいるようですが,個人的にはあまりお勧めできません。昔と違って,いまは司法修習の期間も短く,法律問題も複雑になっています。いきなり独立して弁護過誤をやらかすと,取り返しがつきません。やはり信頼できるボスについて,指導してもらったほうがよいでしょう。

 その場合,どこで受け入れるか。考えられるのは,各地の都市型公設事務所で養成することでしょう。仙台弁護士会は,来年4月を目処に,やまびこ基金法律事務所を設立すると発表しています。また,将来的には,ひまわり・法テラスの事務所で養成することも考えなくてはならないでしょう。

朝日新聞の記事
http://www.asahi.com/life/update/1021/TKY200710210161.html

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河北新報「司法の光東北全域へ 弁護士一極集中是正します」

 2007年9月29日の河北新報配信ニュースは,仙台弁護士会が,日弁連,東北弁連と連携して,若手弁護士養成のための拠点事務所を仙台市に設置すること,仙台地裁古川支部,大河原支部管内にひまわり基金の公設事務所を設置すること,を伝えています。

 仙台弁護士会が設置する拠点事務所は,弁護士偏在地域に赴任する若手弁護士(ひまわり・法テラスを含みます。)の養成を目的とする「都市型公設事務所」です。名称は,「やまびこ基金」となるようです。

 都市型公設事務所は,現在,全国9か所に設置されています。

 北から順に,すずらん基金法律事務所(札幌弁護士会),東京パブリック法律事務所,北千住パブリック法律事務所,渋谷パブリック法律事務所(以上,東京弁護士会),渋谷シビック法律事務所(第一東京弁護士会),東京フロンティア基金法律事務所(第二東京弁護士会),大阪パブリック法律事務所(大阪弁護士会),岡山パブリック法律事務所(岡山弁護士会),広島みらい法律事務所(広島弁護士会)です。

 なお,来年2月には,多摩パブリック法律事務所(東京弁護士会)が設置される予定だと聞いています。

 日弁連は,弁護士偏在を解消するため,都市型公設事務所を設置する弁護士会連合会(弁連)に対する経済的支援を行う予定です。やまびこ基金法律事務所は,そのパイロット事業と位置づけられています。今後,全国各地で,こうした都市型公設事務所が誕生することでしょう。

河北新報の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070929-00000010-khk-soci

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ひまわり・定着支援に関心がある司法修習生の方へ

 「ひまわり基金法律事務所に赴任したい」「弁護士過疎地域で開業する資金を借りたい」という司法修習生・弁護士の方は,日弁連公設事務所・法律相談センターのホームページをご覧ください。ひまわり基金法律事務所の歩みや,制度の説明などが整理されています。

 公設事務所に応募したいという弁護士の方は,「弁護士募集中!公設事務所」をご覧ください。現在募集中の公設事務所が掲載されています。また,公設事務所に赴任するまでの間,都市部の協力事務所で経験を積みたいという司法修習生の方には,協力事務所への就職をお勧めします。「弁護士過疎対策供給型A協力事務所」をご覧ください。

 また,過疎地で開業したい,という司法修習生・弁護士の方には,「弁護士過疎地での活動を考えている弁護士、司法修習生の皆さんへ」をご覧ください。定着支援制度により,ひまわり基金から合計900万円まで無利息で貸し付けが受けられます。

 なお,現在,業務総合推進センターでは,弁護士偏在を解消するための経済的支援策を検討中であり,パイロット事業を試行しています。この制度は,従来の定着支援制度よりも広い範囲をカバーすることになる予定です。

弁護士過疎対策・法律相談事業の取り組み
http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/kaso.html

弁護士募集中!公設事務所
http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/bosyu.html

弁護士過疎対策供給型A協力事務所http://www.nichibenren.or.jp/ja/legal_apprentice/61/index_kaso.html

弁護士過疎地での活動を考えている弁護士、司法修習生の皆さんへ
http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/backup.html

日弁連新聞(弁護士偏在解消のための経済的支援策を採択)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/newspaper/403.html

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宮崎日日新聞「社説 弁護士偏在」

 2007年8月24日の宮崎日日新聞の社説は,宮崎県弁護士会の会員は65名で,県民2万人に1人の割合で弁護士過疎と言われて久しい,しかも,そのほとんどが宮崎,延岡,都城市に集中しており,異常な偏り方をしている,日弁連の経済的支援策により弁護士の定着を期待したい,と述べています。

宮崎日日新聞(トップページ)
http://www.the-miyanichi.co.jp/

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弁護士会による就職情報説明会

 平成19年司法試験合格者(新61期司法修習生)を対象に、地方弁護士会による就職情報説明会が開催されます。
 今回の就職情報説明会は、地方の弁護士会・弁護士の実情を知るよい機会です。地方での就職・独立開業をお考えの方は、是非、ご参加ください。
 なお、東京三会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)と大阪弁護士会と、一部の弁護士会は、参加しません。
 私は、当日、説明会の冒頭で、ひまわり基金法律事務所の体験をお話しする予定です。

日時 2007年10月21日(日) 12時30分~16時00分

会場 弁護士会館2階 講堂クレオおよび17階会議室
    東京都千代田区霞が関1-1-3
    (地下鉄霞ヶ関駅B1-b出口直結)

対象 新61期司法修習生

主催 日本弁護士連合会

問合せ先 日本弁護士連合会業務部業務第1課
       TEL 03-3580-9838 FAX 03-3580-2866

http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/attorneys/071021.html

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移転のお知らせ

 ひまテラNEWS(http://blog.livedoor.jp/himatera/)は、移転しました。
 今後しばらくは、私(田岡直博)が個人的に運営する予定です。
 なお、このブログは、すべて私個人の責任において運営しています。
 法テラス、日弁連は一切責任を負いませんので、ご注意ください。

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