カテゴリー「ひまわり」の63件の記事

ニュース 日向入郷地区ひまわり 開設から2年

 日向市に五嶋俊信弁護士(37)=横浜市出身=が「日向入郷地区ひまわり基金法律事務所」を昨年8月に開設して1年を迎えた。社会的弱者に法的救済の機会を増やすため“弁護士ゼロ地域”だった日向・入郷地区に県弁護士会などの支援を受け開設した同事務所。予想を超す依頼があり、運営は軌道に乗ったが、一方で弁護士が1人しかいないことの限界も浮かび上がる。

 昨日,「弁護士ゼロ地域」解消記念シンポジウムが開催されました。あらためて報告の記事を書きたいと思います。

 最近,宮崎日日新聞に「『弁護士ゼロ』解消1年」という,日向入郷地区ひまわりの1周年の記事を見つけました(記事自体は1年前のもののようです)。日向入郷地区は,地裁支部所在地ではないため,日弁連の定義では「弁護士ゼロ地域」にすら当たらないことになりそうですが,こうした地域でも,市民の押し寄せる需要に応えきれず,多忙を極めているそうです。「法律事務所の増設が必要である」という五嶋さんの言葉が紹介されています。

 記事によると,日南ひまわりの開設されている日南市にも,弁護士法人の従たる事務所が開設される予定だとのことです。公設事務所が開設されたことで,弁護士過疎地域にもニーズの存在することが明らかになり,弁護士法人の従たる事務所が開設されたり,独立開業する弁護士が現れる,という良い循環が生まれているように思います。ただ,そこでいう「ニーズ」とは,あくまで弁護士にとってのニーズであり,法律事務所の経営が成り立つかどうか,という視点であることには注意が必要でしょう。

 昨日のシンポジウムでも指摘されていましたが,これからは「弁護士がニーズを決める時代から,市民がニーズを決める時代へ」という,弁護士の意識変革が求められているように思います。

宮崎日日新聞の記事
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/index.php?itemid=1063&catid=103

| | コメント (2) | トラックバック (0)

「弁護士ゼロ地域」解消記念シンポジウム

 明日,弁護士会館で,「弁護士ゼロ地域」解消記念シンポジウムが開催されます。

 私も,シンポジウムのコーディネーターとして参加予定です。これまでの弁護士過疎対策(公設事務所,法テラス)の歩みを振り返り,これからの弁護士過疎対策,司法アクセス改善のための方策について意見を交換するシンポジウムにしたいと思っています。

 お時間のある方は,ぜひご参加ください。

日時 2008年7月13日(日)13:30~16:30
場所 弁護士会館2階 講堂クレオ(会場地図)
    千代田区霞が関1-1-3
    地下鉄 霞ヶ関駅(B1-b出口)から徒歩1分
参加費 無料
内容 13:30~14:30 過疎地からの報告
   ・松本 三加 氏(弁護士 紋別ひまわり基金法律事務所初代所長)    
   ・曽我 紀厚 氏(弁護士 元鳥取ひまわり基金法律事務所所長)
   ・太田 晃弘 氏(弁護士 法テラス可児法律事務所所長)

   14:30~16:30 パネルディスカッション
   パネリスト
   ・熊坂 義裕 氏(宮古市長)
   ・菅原 郁夫 氏(名古屋大学大学院法学研究科教授)
   ・篁慶 一 氏(NHK青森放送局むつ報道室記者)
   ・太田 治夫 氏(弁護士 日弁連公設事務所・法律相談センター前副委員長)
   ・松本 三加 氏(弁護士)
   コーディネータ
   ・田岡直博(弁護士 元宮古ひまわり基金法律事務所所長) 
 
主催 日本弁護士連合会
問合せ先 日本弁護士連合会 業務部業務第二課
     (TEL:03-3580-9333)

http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/080713.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 民事執行事件の本庁集約

 東北の地裁が、不動産競売など「民事執行手続き」業務の取り扱いを支部から本庁に集約させている。裁判所は「専門的で迅速な事務処理が可能になる」とサービス向上を強調するが、司法過疎対策に取り組む弁護士会からは「過疎地域の切り捨てにつながる」との声も出ている。

 河北新報は,東北地方の地方裁判所で,民事執行事件の本庁集約が進んでいることを報じています。執行事件の本庁集約が報道されるのはおそらく初めてで,非常に価値がある記事だと思います。

 民事執行事件の本庁集約は,約2年前から全国各地の地方裁判所で問題提起され,弁護士会に意見照会がなされていますが,対応は弁護士会によってさまざまであり,本庁集約が進んでいる裁判所とそうでない裁判所があります。また,民事執行事件以外にも刑事合議事件や破産事件などを本庁に集約している裁判所もあり,「地方裁判所支部の機能縮小」が大きな問題となっています。昨年の第2回全国支部問題シンポジウムでは,この点がテーマの一つになりました。

 最高裁判所の説明によると,「執行事件は当事者の出頭が必ずしも必要的ではなく,不動産競売の売却率を向上させるために,本庁に集約させている支部もある」ということです。最高裁判所は,不動産競売の売却立を向上させるために,BITシステム(物件明細書等インターネット提供システム,Broadcast Information of Tri-set System)を導入しています。これは,インターネットを利用して,いわゆる3点セット等の情報を提供するものです。最高裁判所によると,BITシステムを利用することにより売却率が向上するし,地方裁判所支部にも3点セットの写しを備え付けているので,不都合は生じない,ということです。

 たしかに,インターネットを利用して売却率を高める工夫は必要なことであり,そのための業務の合理化・効率化にはやむを得ない面があることは否定しません。しかし,このシステムは買受人の利便性を高めるためのものであり,申立人や債務者,所有者にとっては必ずしも利便性が高まることにはなりません。支部管内に居住する債権者が競売を申し立てようとするときや,債務者,所有者が競売に対して不服申立を行うときには,地方裁判所の本庁に行かなければならない,という負担が増えることになります(もちろん,高く売却できれば,債務者にとっても利益になる場合があることは否定しません)。

 また,不動産執行以外にも,債権執行や動産執行まで集約されてしまうと,たとえば,婚姻費用や養育費の差押えを申し立てる場合にまで,地方裁判所本庁に行かなければなりません。もちろん,郵便で申し立てることは可能ですが,それができるのは企業や,弁護士が代理人に選任されている場合だけでしょう。ほとんどの市民は窓口で説明を受けなければ申立て自体ができないように思います。たとえば,住民票や戸籍謄本も郵便で取り寄せることはできますが,ほとんどの人は市役所の窓口で取り寄せているのではないでしょうか。

 このように考えると,民事執行事件の本庁集約の背景には,利用者の利便性を高め,売却率を向上させようという合理化・効率化の発想があり,そこで想定されている利用者とは主として企業である,ということが言えるように思います。たしかに,不動産を買い受けようとする企業や,債権を回収するために競売を申し立てる企業にとっては,利便性が高まることは間違いないでしょう。しかし,養育費を支払ってもらえないために元夫の給与の差押えを申し立てる女性や,認知症のため悪質商法の被害に遭い,支払督促が確定してしまい自宅の競売を申し立てられてしまった高齢者にとっては,負担が増大することもまた間違いないのです。

 更に言えば,BITシステムで売却率が向上するのは,地方都市の不動産の中でも流通性の高い不動産であり,多くは商店街やバイパス沿いの空き店舗,住宅地の一戸建てではないでしょうか。そうした物件を都市部のリフォーム会社等が落札して,リフォーム後にパチンコ屋等に転売しているのです。そのため,商店街の中にパチンコ屋がどんどん進出して,商店街の雰囲気が変わってしまった,という声も聞かれています。 他方で,農地など流通性が低く,市場価値の低い物件は,BITシステムを利用しても売却率が向上するとは思えません。こうした物件は,支部で競売を実施し,地元の農家に落札してもらう方が売却率の向上が望めるのではないでしょうか(もちろん,そのためには裁判所をもっと市民に身近で,利用しやすいものに変えていく工夫があわせて必要になるでしょう)。

 つまり,ここでは,BITシステムの導入によって,資産(不動産)の流動性が向上することにより,資産の外部への流出と,それによる農村部の荒廃が問題になっているのではないでしょうか(同じように,農村部では人材の外部への流出もまた大きな問題となっています)。そうであるならば,行き着くところは自由主義経済そのもの(また,それが不可避的にもたらす弊害)の当否であり,不動産の譲渡・貸借や建造物の建築についての公的な規制をどこまで緩和するか(農地法や建築基準法,都市計画法はその規制の一つです),という問題もあわせて考えておく必要がありそうです。

河北新報の記事
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/06/20080606t73025.htm

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 佐渡ひまわり基金法律事務所 開設

 弁護士過疎」の解消を図るため、日本弁護士連合会などが佐渡市に「佐渡ひまわり基金法律事務所」を開設、10日から業務を始める。初代所長として着任した佐藤克哉弁護士(32)が7日、同市内のホテルで記者会見し、「法律や弁護士が身近にないことで、だまされたり、不利益を被ったりする人を減らしたい」と抱負を語った。

 今月10日,新潟県佐渡市に佐渡ひまわり基金法律事務所が開設され,初代所長に佐藤克哉さんが就任しました。記事によると,佐藤さんは山形県の出身で,新潟県弁護士会に所属してこられたそうです。ひまわり基金法律事務所の所長は公募制ですが,地元から応募者が現れることは意義のあることだと思います。

 佐藤さん,がんばってください。応援しています。

朝日新聞の記事
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000806090004

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20080607ddlk15040033000c.html

新潟日報の記事
http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=110995

産経新聞の記事
http://sankei.jp.msn.com/region/chubu/niigata/080608/ngt0806080240002-n1.htm

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 佐渡ひまわり基金法律事務所開設へ

 日弁連と県弁護士会などが6月10日、佐渡市に初の公設法律事務所を開設する。同市にはこれまで弁護士は2人しかおらず、長年懸案だった島内の弁護士不足の解消に弾みをつけたい考えだ。初代所長に就任する同会所属の弁護士、新潟市の佐藤克哉さん(32)は「佐渡では先物取引や悪徳商法で困っている人が多い。被害者を1人でも減らしたい」と意気込んでいる。

 新潟日報に,佐渡ひまわり基金法律事務所の所長に就任予定の佐藤さんのインタビュー記事が出ています。佐渡は,現在弁護士が二人いますが(一人は法テラス佐渡の冨田さとこ弁護士です),地域住民のニーズに応えきれないため,新潟県弁護士会は,ひまわり基金法律事務所の設置を求めていました。この度,新潟県弁護士会に所属の佐藤さんが選定され,来月10日に佐渡ひまわり基金法律事務所を開設することになりました。

 新潟には,長岡市(震災復興を目指す中越ひまわり基金法律事務所。ただし,震災復興の時限立法のため本年3月に廃止),上越市(上越ひまわり基金法律事務所),新発田市(新発田ひまわり基金法律事務所)に公設事務所が開設されていますが,これで,県内では4か所目となります。

 佐藤さん,がんばってください。応援しています。

新潟日報の記事
http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=110686

| | コメント (0) | トラックバック (1)

ニュース 弁護士ゼロ地域が解消

 全国で唯一、弁護士がいなかった大津地裁長浜支部(滋賀県)管内に2日、弁護士事務所が開業することになり、“弁護士ゼロ”地域が解消される。とはいえ、過疎地域で活動する弁護士を中心に、「弁護士不足」を指摘する声は根強い。また、裁判官不在の地裁支部も少なくないため、「裁判所側の態勢も貧弱。弁護士が増えるだけでは司法過疎は解消しない」と抜本的な問題解決を求める声も上がっている。

 本日,滋賀県長浜市(大津地裁長浜支部)に薮下さんが登録し,弁護士ゼロ地域が完全に解消されました。産経新聞が昨日付けで記事を配信しているほか,本日付けで日弁連が会長談話を発表しています。いずれも,裁判官・検察官の増員,裁判所・検察庁支部の機能強化等の司法基盤の整備の推進が必要不可欠であるという内容で,正鵠を得た指摘であると思います。

 明日には,より多くのマスコミで報道されることでしょうから,それを見て更にコメントを付けたいと思います。

産経新聞の記事
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080601/trl0806012106001-n1.htm

日弁連 「弁護士ゼロ地域」の解消に関する会長談話
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080602.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 奄美ひまわり基金法律事務所の二代目所長に大窪さんが就任

 奄美市の公設事務所「奄美ひまわり基金法律事務所」の所長が交代し、引き継ぎ式が24日、市内のホテルで開かれた。

 同事務所は、弁護士過疎地域の解消を目指し、2005年3月に開設された。初代所長の高橋広篤弁護士(32)が任期を終えて退任。5月から大窪和久弁護士(32)が所長に就任している。

 先週末,奄美ひまわり基金法律事務所の開所式に出席してきました。

 奄美ひまわり基金法律事務所は,平成17年3月に開設され,初代所長として高橋広篤さんが就任しました。奄美市(名瀬市)は,市民生活係の禧久さんを中心に多重債務問題に熱心に取り組んでいることで知られています。高橋さんは,市役所と連携して多重債務問題に数多く取り組んだ,と聞いています。今後は,弁護士偏在地域(※1)である静岡県掛川市で開業されるそうです。

 大窪さんは,今年の3月まで,北海道紋別市の紋別ひまわり基金法律事務所の三代目所長を務めてこられました。ひまわり基金法律事務所から,ひまわり基金法律事務所へ赴任したのは,大窪さんが初めてです。北海道から鹿児島まで約2100キロの大移動となりましたが,すでに奄美ひまわり基金法律事務所で,執務を開始しておられるそうです。引継式には,旭川弁護士会や紋別ひまわり基金法律事務所の先生方も出席しておられましたが,大窪さんの前任地で人望を勝ち得てきたことがうかがわれました。

 奄美には,法テラスと地元の弁護士をあわせて3人の弁護士がいますが,紋別に比べて事件数が格段に多く,弁護士が足りない状況にある,と聞いています。また,2009年からは被疑者国選弁護の対象事件が拡大され,裁判員制度も導入されるため,更に弁護士の負担が大きくなると予想されます。奄美群島への出張相談などの課題も残されています。任期中の課題は少なくありませんが,大窪さんであれば,前任地での経験を生かして,成し遂げてくれるだろうと確信しています。

 大窪さん,がんばってください。応援しています。

※1 日弁連は,弁護士が「弁護士過疎地域」とは言えないが,弁護士が人口に比べて少ない地域を「弁護士偏在地域」と呼んでいます。しかし,もともと「偏在」という言葉は,臨時司法制度調査会意見書が「弁護士の大都市偏在化」という文脈で用いたのが最初であり,「弁護士が少ない地域」を指す用語として用いるのは,あまり適切ではないように思います。

読売新聞の記事
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20080525-OYT8T00205.htm

Amami

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ブログ 夢を追い続ける車椅子の弁護士吉峯康博

 先日(2008年5月10日)、日弁連において「採用情報説明会~弁護士のあり方を地域から考える~」が行われました。 
 この中で、パネルディスカッションが行われ、大変素晴らしい内容でした。

 吉峯先生のブログに5月10日のシンポジウム「地方から弁護士のあり方を考える」の記事が掲載されています。吉峯先生のブログはいつも充実していて,読む方も元気になりますね。

ブログ を追い続ける車椅子の弁護士吉峯康博
http://yoshimine.dreama.jp/

記事 『市民の駆け込み寺』は足りるのでしょうか?
http://yoshimine.dreama.jp/blog/158.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 自殺防止と弁護士過疎問題

 07年度の県民生活センターと各地方振興局の消費生活相談室に寄せられた多重債務の相談件数が、4年ぶりに増加したことが同センターのまとめで分かった。県は今年度から全国的にも多い年間300回を超える弁護士無料相談会を開催。その背景には弁護士過疎地域の県北や沿岸で、借金苦などを理由に自殺する人が多い実態があり、同センターでは「まず相談を」と呼びかけている。

 「弁護士過疎と自殺率には相関関係があるのではないか」という指摘が以前からあります。自殺率が高い秋田,岩手,青森はいずれも弁護士が少なく,岩手県の中でも沿岸(釜石,大船渡,宮古)と県北(二戸,久慈)は,弁護士過疎地域だからです(ただし,県民性や高齢化も関係していることは間違いありません)。自殺の原因・動機のうち,経済生活問題が相当数を占めることを考えると,両者の間には相関関係があると考えるべきでしょう(現場の弁護士の多くが,そのような実感を持っていると思います)。

 私は,以前,「弁護士過疎が解消されると,自殺率が低下するのではないか」という仮説を立てて,それを実証しようと試みたことがあります。しかし,自殺率の統計は数年前のものしかなく,ここ数年で急速に進展した弁護士過疎対策との相関関係を分析するには,データが足りませんでした。しかし,あと数年もすれば,その相関関係を分析することが可能になるはずであると確信しています。

 これまでは,自殺防止の取り組みと,多重債務問題や弁護士過疎問題の取り組みが十分に連携できていませんでした。しかし,今後は,弁護士が地方自治体や保健師,医師と連携して,自殺防止の取り組みに積極的に参加することが必要でしょう。地域住民の「生活」と「生命」を守るために,行政と民間あるいは医療・福祉と司法の壁を越えて,専門家と自治体の連携が求められているように思います。

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080517-00000057-mailo-l03

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 「弁護士ゼロ地域」解消へ

 裁判所があるのに弁護士が一人もいない「弁護士ゼロ地域」が解消されることになった。福岡地裁柳川支部管内で今月1日、弁護士が事務所を開き、最後に残った大津地裁長浜支部管内でも6月に弁護士が開業する。開業資金の貸し付けなどの施策を講じてきた日本弁護士連合会は今後も地方の弁護士育成を進め、都市部に偏在する状況の緩和を目指す。

 本年6月2日に「弁護士ゼロ地域」が解消される予定です。「弁護士ゼロワン地域」とは,地方裁判所支部単位で弁護士が0又は1人の地域のことをいいます(なお,韓国では「無弁村」という言葉を使っているそうです)。

 「弁護士ゼロワン地域」という言葉がはじめて公式に使われたのは,1993(平成5)年に開催された日弁連の第8回業務改革シンポジウム(香川県高松市)です。そこで発表された「弁護士ゼロワンマップ」は,全国の地裁支部の37%に相当する74支部は「弁護士ゼロワン地域」であると指摘し,マスコミで「法の隙間」として報道されるなど,大きな反響を呼びました(なお,全国の地方裁判所支部は203か所あります)。

 日弁連は,1996(平成8)年の定期総会において,「弁護士過疎地域における法律相談体制の確立に関する宣言」(「名古屋宣言」と呼ばれています)を採択し,「弁護士過疎・偏在問題の解決のために全力をあげて取組むことを決意するとともに,当面の措置として5年以内に,いわゆる0~1地域を中心として緊急に対策を講ずべき弁護士過疎地域に法律相談センターを設置するなど,市民が容易に弁護士に相談し,依頼することができる体制を確立するよう最善を尽くす」と宣言しました(なお,1996(平成8)年4月の弁護士ゼロ地域は47か所,ワン地域は31か所でした)。

 日弁連は,弁護士過疎地域を解消するための活動資金として,1999(平成11)年に東京弁護士会から寄付を受けて「ひまわり基金」を設置し,同年の定期総会において日弁連の全会員から毎月1000円の特別会費の徴収を採択しました(その後,特別会費の徴収額は,1500円,1400円に増額,減額されました)。2000年の定期総会において「司法サービスの全国地域への展開に関する決議」を採択し,それに基づき,2001年に「司法サービスの全国展開に関する行動計画」を策定しました。そして,ゼロワン地域を中心とする弁護士過疎地域に法律相談センター,公設事務所の設置を進めてきました。

 また,2006(平成18)年には日本司法支援センター(法テラス)が業務を開始し,司法過疎対応地域事務所(法30条1項4号所定の業務を行うので,「4号業務対応地域事務所」と呼ばれています)を開設し,常勤スタッフ弁護士を配置するようになりました。日弁連は,そこでも,常勤スタッフ弁護士を確保,養成及び支援する重要な役割を担って来ました。

 更に,2007(平成19)年には「弁護士偏在解消のための経済的支援」のパイロット事業が承認され,2008年(平成20)年1月から正式に,弁護士偏在地域に独立開業する弁護士(偏在対応弁護士)の支援及び偏在対応弁護士を養成する弁護士に対する支援を開始しています。

 こうした日弁連の弁護士過疎対策により,弁護士過疎対策は大きく進展しました。現在,法律相談センターは全国に308か所(そのうち,ひまわり基金の援助を受けているセンターは138か所),弁護士常駐型公設事務所は延べ86か所(そのうち,定着した弁護士常駐型公設事務所は15か所),ひまわり基金の定着支援は17件(そのうち,弁護士法人の定着支援は2件)法テラスの司法過疎対応地域事務所は15か所,拠点事務所は1か所,独立開業支援を利用して定着した弁護士は5名にのぼります。

 それにともない,「弁護士ゼロワン地域」は急速に減少し,2008(平成20)年4月1日現在,「弁護士ゼロ地域」は2か所,「弁護士ワン地域」は22か所となりました。残された2つの「弁護士ゼロ地域」のうち,福岡地裁柳川支部と大津地裁長浜支部についても,本年5月及び6月を目途に定着する弁護士が現れる予定です(福岡地裁柳川支部には,5月1日に弁護士登録が行われました)。そして,最後の弁護士ゼロ地域である大津地裁長浜支部にも,薮下さんが独立開業されることになりました。

 「弁護士ゼロワンマップ」の発表から15年,名古屋宣言から12年を経た今年,「弁護士ゼロ地域」は解消されることになったのです。全国のすべての地方裁判所支部には最低でも1人は弁護士がいるということであり,きわめて大きな意義があると思います。

 日弁連で弁護士過疎問題に取り組む田岡直博弁護士は「法科大学院との協力なども考えていきたい」と話している。

 ただ,これですべての問題が解決したわけではありません。

 依然として,新人弁護士の約50%は東京に就職しており,弁護士の大都市集中傾向は変わっていません。地方に定着(独立開業)する弁護士が現れることは理想的ですが,地元ならではのやりづらさもあります。家族の理解,生活の不安等から定着が難しい地域もあるでしょう。いったん定着しても,その後に転出したり,高齢や病気のために廃業してしまうこともあるかもしれません。

 ひまわり基金公設事務所や法テラスのスタッフ弁護士は有効な方策ですが,あくまで任期制の事務所ですから,後任の弁護士を確保し続けなくてはなりません。司法修習生やロースクールの学生を,ひまわり基金公設事務所や法テラスで受け入れることも考える必要があるでしょう。また,事務所が増えてくると,当然採算が取れないために日弁連等による資金援助が必要な事務所も出てくるでしょう。制度を安定的に運営するためには,「人」と「金」の問題は避けて通れません。

 また,弁護士過疎地域のとらえ方も,変えていく必要があるでしょう。地方裁判所支部単位での「弁護士ゼロワン地域」だけを問題にするのではなく,独立簡易裁判所・家庭裁判所出張所の所在地の中にも,弁護士が必要な地域もあるでしょう。そもそも裁判所の配置や管轄が,地域の実情に合致していない,という問題も以前から指摘されています(たとえば,水戸地裁麻生支部など)。弁護士が2人いれば足りる,ということではなく,実質的に地域住民のニーズに応えられることが重要です。

 弁護士の中には,さまざまな理由から「法テラスと契約しない」「刑事事件はやらない」「債務整理はやらない」という弁護士もいます。また,女性の弁護士の多くは大都市や県庁所在地に集中しており,女性弁護士が不足している,という問題もあります(女性弁護士の大都市集中傾向は男性のそれより顕著であり,函館弁護士会のように,女性弁護士が1人もいない単位弁護士会もあります)。「弁護士ゼロワン地域」を解消したら終わり,ということではなく,地域住民のニーズに応える人的・物的な体制を整備することが必要でしょう。

 そのためには,弁護士を増やすだけでは不十分であり,ひまわり基金や法テラスなどの施策と同時に,裁判所・検察庁や地方自治体の体制等を充実させていくことが必要になります。過疎地の地方裁判所支部の多くは裁判官が常駐しておらず,本庁や近隣の支部から出張して来ています。そのため,開廷日が週1回,週2回という支部が少なくありません。もっとも開廷日が少ないのは,松江地裁西郷支部で,年8回(3か月に2回)しか開廷されていません。

 また,地方自治体の法律相談事業も,厳しい財政状況のため縮小傾向にあります。多重債務や高齢者・障害者問題など,弁護士と自治体の連携が求められる分野はまだまだあります。限られた予算と人員を活用して,効率的に司法システムを機能させるための工夫が求められることになるでしょう。電話会議やテレビ電話会議システム等の技術も活用すべきでしょう。裁判官不足の問題について言えば,弁護士任官や非常勤裁判官が,自治体の法律相談事業については,弁護士と各部署の連携・協力(ネットワーク)が,ひとつの鍵になるはずです。

 このように残された課題は少なくありませんが,それでも,日弁連・法テラスの弁護士過疎対策は大きな成果をあげてきたことは間違いありません。これまでの歩みを後戻りさせることなく,今こそ,これからの弁護士過疎対策のあり方を展望することが求められている,と言うべきでしょう。

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080508ddm012040027000c.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 紋別ひまわり基金法律事務所 4代目所長の大島さんが着任

 05年から3年間、紋別ひまわり基金法律事務所長を務め10日付けで退任した大窪和久弁護士(32)と、後任の大島未緒弁護士(32)が11日、紋別市役所を訪ね、宮川良一市長らに所長交代を報告。大窪弁護士は「3年間、本当にお世話になりました」「紋別を出ることが決まってから、だんだん寂しくなってきました」と名残惜しそうにあいさつしたほか、大島弁護士は「依頼の相談にできるだけ早く応え、期待に添えるよう、出張と地元の仕事のバランスも考えていきたい」などと抱負を語った。

(北海民友新聞)

 紋別ひまわり基金法律事務所は,2001年4月に全国3番目の公設事務所として開設されました(1番目は島根県の石見ひまわり基金法律事務所,2番目は沖縄県の石垣ひまわり基金法律事務所です)。当時2年目の弁護士だった松本三加さんが初代所長として赴任され,その年に初めて開催された日弁連のシンポジウム「あなたを呼ぶ声が聞こえますか--弁護士のあり方を地域から考える」での発言は多くの司法修習生の共感を呼びました。紋別ひまわり基金法律事務所が,今日の公設事務所の基礎を築いたと言っても過言ではないでしょう。

 その紋別ひまわり基金法律事務所も,松本さん,亀井さん,大窪さんと3代の所長が交替し,今年4月でついに4代目となりました。4代目となるのは,三重県の熊野ひまわり基金法律事務所と並んで最多です。4代目の所長に着任されたのは,大島未緒さんです。大島さんは,東京のご出身で,第二東京弁護士会の紀尾井町法律事務所に所属しておられました。良き後任を得て,ますます紋別ひまわり基金法律事務所が発展することを祈念しています。

 大島さん,がんばってください。応援しています。

Monbetu1

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース やまびこ基金法律事務所が開設

 日本弁護士連合会と東北弁護士会連合会、仙台弁護士会が連携し、弁護士過疎地域への赴任者を養成する都市型公設事務所「やまびこ基金法律事務所」(仙台市青葉区)を1日開設するのを前に、日弁連の平山正剛会長が31日、仙台市で記者会見し、「来年は裁判員制度や容疑者国選弁護人制度が始まり、弁護士需要が激増する。力を付けた若手弁護士が過疎地に定着してほしい」と述べた。

 3月31日,やまびこ基金法律事務所(宮城県仙台市)の開所式が開催され,私も参加して来ました。

 やまびこ基金法律事務所は,日弁連,東北弁護士会連合会,仙台弁護士会が支援して設立する法律事務所です。いわゆる「都市型公設事務所」としては,全国で11番目になります。また,昨年12月の臨時総会で決議された「弁護士偏在解消のための経済的支援」から援助を受けて設立された拠点事務所としては,全国初です。その意味で,日弁連にとっても大きな意味があります。

 所長に就任された泉山先生は,元仙台地裁の所長です。支援委員の弁護士のサポートを受けて,若手弁護士の指導にあたることになります。すでに宮城県登米市に独立開業予定の及川弁護士の入所が決まっており,今年9月以降,60期の司法修習生が複数名入所予定である,ということです。

 東北は多くの弁護士過疎地域を抱えており,19のひまわり基金法律事務所があります。ゼロワン地域は,仙台地裁登米支部だけですが,及川弁護士が独立開業されれば解消される予定です。しかし,弁護士が2人いれば十分というわけではありません。むつ簡裁(青森県むつ市),久慈簡裁(岩手県久慈市)など独立簡裁所在地を中心に,まだまだ弁護士が不足している地域はあります。また,青森地裁八戸支部,福島地裁会津若松支部,山形地裁鶴岡支部など,国選弁護の事件数に比べて弁護士が不足している地域もあります。ひまわり基金法律事務所の後任も養成しなければなりません。

 やまびこ基金法律事務所には大きな期待が寄せられています。今後,仙台弁護士会はじめ東北の弁護士会の支援を受けて,大きく発展されることを祈念しています。

河北新報の記事
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/04/20080401t13017.htm

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20080401ddlk04040297000c.html

共同通信の記事
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2008033101000605.html

| | コメント (0) | トラックバック (1)

ニュース 益田市、来月から無料法律相談

 多重債務問題に関して益田市は、市内2カ所の法律事務所と協力して4月から無料法律相談を実施する。担当の置塩正剛弁護士(36)=益田ひまわり基金法律事務所=と山田さくら弁護士(30)=石西ひまわり基金法律事務所=が25日、牛尾郁夫市長を表敬訪問した。

 島根県益田市の二つの公設事務所が,市と連携して,無料法律相談を実施するそうです。多重債務の相談は,都市部では無料にしているところが多いですが,地方ではまだまだ有料の方が多いでしょう。無料にすることで,お金に困っている人でも気軽に相談することができますし,マスコミに取り上げてもらうことで広く知ってもらう意味もありますね。すばらしい取り組みだと思います。

朝日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080326-00000287-mailo-l32

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 天草ひまわり基金法律事務所 二代目の林さんが着任

 天草市の天草ひまわり基金法律事務所の引き継ぎ式が28日、行われた。林浩一弁護士(34)と妻の真希弁護士(31)が2代目所長として、4月1日に就任する。

3月28日,天草ひまわり基金法律事務所(熊本県天草市)の引継式が開催され,二代目所長の林さんご夫妻が着任されました。

 林浩一さんは,北條さんと同じ日比谷見附法律事務所のご出身です。真希さんは,北千住パブリック法律事務所のご出身で,第4回刑事弁護新人賞の最優秀賞を受賞しておられます。お二人であれば,安心して二代目の所長を任せられますね。

 北條さん,おつかれさまでした。林さん,がんばってください。応援しています。

読売新聞の記事
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kumamoto/news/20080330-OYT8T00663.htm

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第169回参議院予算委員会(平成20年3月19日)

○森まさこ君

 時間がないということで、あと一問だけということで質問したいと思いますが、資料九を御覧ください。
 増田大臣に御質問したいんですが、地方の消費者行政でございますが、多重債務問題プログラムのときに相談窓口を充実させるようにというふうに決まりましたが、全くこれが進んでおりません。住民にとって、相談窓口を、どこに相談したらよいか分かるだけで問題解決には大きく前進をいたします。是非、積極的に取り組んでいただきたいんですが、資料十、資料十一にあるように、地方行政においては消費者問題の予算から大きく削減をされておりまして、消費者相談員の方がワーキングプアのような状態に陥っております。この点、増田総務大臣としましては、国からの支援策など、もしありましたらお聞かせください。

○国務大臣(増田寛也君)

 お答えを申し上げますが、今先生の方からお示しございました資料、資料九以下の多重債務、そして地方での大変厳しい状況などの資料が付いてございます。特に資料十三に、私が知事をしておりました岩手で、例の田岡弁護士が多重債務に大変献身的に取り組まれた、その資料なども入っておりました。

 今、そうしたまさに国民との接点である地方組織が、残念ながら予算が半分程度になる、それから人員も四分の三、四分の一ぐらい減ってしまっているということで大変弱体化をしていると。一方で、相談件数が大変多くなってきておりまして複雑化している問題がある。これは、多重債務以外の問題も含めて、こうしたところを必ず強化していかなければこの消費者行政というものの解決に結び付かないと、このように私も認識をしているところでございます。

 今お話がございました相談窓口の統一化、これは各省としても取り組んでいただくと同時に国として全体を一元的にやっていただく、そして、地方もこうした住民の皆さん方の目線に立ってその相談を寄せるところを一本化をしていくということに今後取り組んでいきたいと思いますし、それから、あとやはり地方公共団体のこうした消費者行政についての権限の拡充も今後必要になってくるだろうと。これは分権を進めていく中で大きな課題、論点だと思っておりますし、それから地方公共団体への情報提供体制の充実、さらには、今最後にお話がございましたが、財政支援などについて、私どもも関係府省ともよく協力をしてできる限りの努力をしていきたいと、このように考えているところでございます。

 国会議事録検索システムに登場しました。自民党の森まさこ議員のご質問に対する増田大臣の発言です。

 増田大臣には,岩手県知事の時代に二度お会いしたことがあります。1回は,国民の司法を考える300人委員会の発足シンポジウムで,もう1回はBBL(小会議)でした。

 私は当時,宮古ひまわり基金法律事務所の所長で,弁護士と行政が連携して多重債務問題や高齢者問題に取り組むことの必要性をお話ししました。増田知事は,地方分権を進めるためには「都道府県にも内閣法制局が必要である」という持論をお持ちで,弁護士が自治体に入ることの必要性をお話ししておられました。

 その後,増田大臣は3期で岩手県知事を退任され,福田内閣の総務大臣に就任された訳ですが,今回の発言を伺っても,地方自治体の行政に深い理解をお持ちであることを再認識しました。消費者庁の実現(中央の省庁間における権限の集中)と同時に,地方自治体の消費者行政の充実(中央地方関係における権限と予算の分散)も,考えていかなければならないと思います。

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=5693&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=9&DOC_ID=8063&DPAGE=1&DTOTAL=7&DPOS=1&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=5734

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 阿南・美馬ひまわり 開設から1年

 徳島県の弁護士過疎地域を解消するために設けられた「阿南ひまわり基金法律事務所」(阿南市富岡町、立石量彦弁護士)と「美馬ひまわり基金法律事務所」(美馬市脇町脇、梶野正寛弁護士)は、開所からそれぞれ一年が過ぎた。多重債務に陥った人などから相談が相次いでおり、問題を一件ずつ解決に導くことで地域に根ざした活動を続けている。

 徳島県に二つの公設事務所が開設されてから1年を経過しました。

 阿南ひまわりの立石さんは,もともと徳島県のご出身で,阿南に定着される予定だそうです。現在はご夫婦で,阿南ひまわり基金法律事務所に赴任しておられます。記事によると「県内だけではなく高知県東洋町の住民からも相談があった。」ということで,徳島県南部だけでなく,高知県の東部まで実質的にはカバーしておられるようです。東洋町の管轄は,高知地裁の安芸支部ですから,出張するのも大変だろうと思います。

 また,美馬ひまわりの梶野さんは,徳島県のご出身ではありませんが,同じく美馬に定着される,ということです。美馬支部の管内には,脇町の大西弁護士がいらっしゃいますので,梶野さんが定着されると弁護士2人地域になります。梶野さんは「美馬事務所ができるまでは、県西部に弁護士は一人しかいなかった。二人になったことで、利害が対立する当事者を二人の弁護士が担当することも可能になった。」と話しておられますが,まったくそのとおりだと思います。

 お二人とも定着されるということですので,今後も地域のためにがんばってください。応援しています。

徳島新聞の記事 地域密着、活動根付く 阿南・美馬、ひまわり基金法律事務所1年 
http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=2&m2=&NB=CORENEWS&GI=Kennai&G=&ns=news_119873829092&v=&vm=1

徳島新聞の記事 脇町に法律事務所開設1年余 挑戦続く大西弁護士
http://www.topics.or.jp/index.html?m1=5&m2=25&bid=11660741983006&cid=11660812259668&vm=1

| | コメント (0) | トラックバック (0)

置塩正剛「司法の偏在 裁判所、検察庁の体制充実も」

 司法試験の合格者が増えても、その中から裁判官や検察官に採用される人数はほとんど変わっていない。浜田・益田の裁判官は、両方の裁判所を兼任しており、地方裁判所判事と簡易裁判所判事が交代で勤務していて常駐していないし、浜田・益田には正検事がいない。良質な司法サービスを提供するためには、弁護士だけでなく、裁判所や検察庁の体制の充実も必要だと思う。

 山陰中央新報に,益田ひまわり基金法律事務所所長の置塩さんの記事が載っています。テーマは「弁護士過疎」ではなく,「司法過疎」。つまり,裁判所や検察庁の体制の充実の問題です。

 「司法過疎」という言葉は,二つの意味で用いられることがあります。もともと,「弁護士過疎ではなく,司法過疎だ」言われるときは,裁判所や検察庁の体制も不十分であるという指摘が含まれていたのですが(中村仁「司法過疎の解消を目指して」ジュリスト1180号),司法制度改革推進本部以降は,「弁護士,弁護士法人及び司法書士」の不足を意味する言葉として用いられるようになりました(法テラスの司法過疎業務は,もっぱらこの意味で用いられています)。そのため,いつの間にか裁判所や検察庁の体制の問題が抜け落ちてしまいました。

 置塩さんが指摘するとおり,弁護士はまだまだ足りないと思いますが,同時に裁判官や検察官も足りないと思います。裁判所の職員である書記官,事務官,調査官も足りませんし,厳密には職員ではない執行官,公証人も足りているとは思いません。あるいは,現状ではそれなりに足りているかもしれませんが,司法制度改革は司法の容量を飛躍的に増大させ,この国のあり方を大きく変えようとしたのですから,当然それに伴って,人員と予算を付けるべきでした。司法制度改革審議会意見書も,末尾でそのように付言していました。

 しかし,実際にはなかなか思うように進んでいません。法テラスにしても,裁判所にしても,最後は「財務省がうんと言わないから」と財務省のせいにされてしまうのです。たしかに国民の税金が使われるわけですから,無駄遣いしないことは当然としても,本当に必要なところまで削られているような気がしてなりません。宮古は,私が大騒ぎしたせいかどうか分かりませんが,ようやく裁判所にエレベーターが設置されました。

 法曹三者の内輪で愚痴を言い合うだけでなく,利用者である国民の立場に立って,自治体の首長や国会議員とも連携しながら,ねばり強く訴えていくことが必要だと思います。

山陰中央新報の記事
http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=500263035

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 稚内ひまわり基金法律事務所 開設

稚内に弁護士が増員されました。弁護士の過疎地域を解消しようと日本弁護士連合会が資金を援助して開設した「稚内ひまわり基金法律事務所」がきのう、オープンしました。

任期3年の所長として赴任したのは、公募に応募して選ばれた札幌出身の佐藤真吾弁護士(32歳)です。会見で、佐藤弁護士は「宗谷地区の人たちに貢献できるように業務にまい進する」語りました。ひまわり基金から開設・運営の費用の援助や支援を受ける法律事務所は、全国で70ヵ所、道内でも10カ所に上るということです。

 3月2日,稚内全日空ホテルで「稚内ひまわり基金法律事務所」の開所式があり,私も出席して来ました。

 前日,友人の結婚式のため新花巻に泊まっていたので,新幹線や飛行機の接続が乱れたらアウトだと思っていましたが,当日午前6時頃に新花巻駅から新幹線に乗りましたら,10時頃には羽田空港に着き,無事に開所式に出席することができました。帰りも午後5時過ぎの飛行機で千歳空港に飛び,そこから飛行機を乗り継いで,午後9時頃には羽田空港に帰って来ることができました。

 さすがに今日一日でこれだけ移動した弁護士は他にいないだろうと思っていたら,北海道各地から集まった弁護士の方々も,車で7時間かけて来たとか,列車で片道5時間かけてきたという人ばかりであり,北海道の広さを思い知らされました。中でも,日弁連公設事務所・法律相談センター事務局長の溝呂木先生は,前日に法テラス魚津の開所式に出席し,そこからいったん東京に戻って,飛行機を乗り継いで札幌に飛び,札幌から列車で稚内入りした!という話を聞いて,驚きました。

 稚内は,言うまでもなく日本最北端の地です。裁判所は,旭川地裁の管轄であり,稚内支部が設置されています。旭川地裁の管内には,紋別支部,留萌支部,名寄支部,稚内支部の4つがありますが,いずれも非常駐支部であり,本庁の裁判官が填補しています。弁護士は,稚内をのぞく3つの支部には,ひまわり基金の公設事務所が設置されており,残すは稚内だけとなっていました。しかも,稚内は旭川から250キロと最も離れているため,交通事情も悪く,被疑者国選の対応態勢にも不安を抱えていました。

 1999年にひまわり基金が設置され,公設事務所の開設が最初に検討されたのも,稚内でした。しかし,元検事正の吉岡先生がここに「彩北法律事務所」を開設されたために,見送られた経緯があります。じっさい,吉岡先生は,お一人で長らく市民の相談に乗って来られたそうです。新聞報道によると,吉岡先生は,当初は公設事務所の開設に積極的ではなかったようですが,最終的には快く承諾されたようです。開所式でも,「早く追いついて,安心させてもらいたい。」と言っておられました。

 所長に就任されたのは佐藤真吾さんです。北海道出身で,道庁にもお勤めになった経験があるそうです。弁護士になってからは,札幌弁護士会が設立したすずらん基金法律事務所で,経験を積んで来られました。開所式では,「格差問題は,経済的な格差の問題だけではない。弁護士がいないために,実質的な権利保障の格差もある。住む地域によって,こうした権利保障の格差があってよいはずがない。私は,稚内市民の権利を実現するために,がんばりたい」と決意を語っておられました。

 とてもいい式典であり,佐藤さんであれば,かならずや稚内市民の期待を勝ち得ることだろうと思いました。被疑者国選の対応も大変だとは思いますが,吉岡先生と二人でがんばってください。応援しています。

札幌テレビ放送の動画ニュース
http://www.stv.ne.jp/news/item/20080303082256/

Wakkanai

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 都留ひまわり基金法律事務所 開設へ

 「弁護士過疎」といわれる郡内地域の弁護士不足を解消するため、県弁護士会は08年秋をめどに、公設の弁護士事務所を都留市内に開設する。公設事務所の設置は県内初で、弁護士会は弁護士1人を全国募集している。

 毎日新聞が,都留ひまわり基金法律事務所の開設が決まり,所長を公募していることを伝えています。

 都留支部は甲府地裁の唯一の支部ですが,管内に弁護士が1人しかいません。しかも,その1人も富士吉田市に事務所を構えており,裁判所のある都留には1人も弁護士がいませんでした。山梨県弁護士会が公設事務所の設置を決議し,県内の弁護士過疎問題に取り組むことを決めたのは画期的な決断だと思います。

 開設前から報道されるのは異例のことですから,地域住民の期待も高いのでしょう。私個人としても,1日も早く所長弁護士が現れて,事務所が開設されることを願っています。

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/area/yamanashi/news/20080305ddlk19040469000c.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 新庄ひまわり基金法律事務所 新所長の滝沢さんが着任

 弁護士過疎の解消を目指す新庄ひまわり基金法律事務所の引継披露祝賀会が八日,新庄市のニューグランドホテルで開かれ,関係者約五十人が,新所長に今月就任したばかりの滝沢崇弁護士を激励した。

 今月8日,新庄ひまわり基金法律事務所の引継式に出席して来ました。

 滝沢さんは,大阪の法律事務所に勤務され,電話機リースの被害などに熱心に取り組んで来られたそうです。新庄に赴任されてからは,多重債務の相談が多く,中でも行方不明者の問題に心を痛めておられました。

 就任のあいさつで,「借金が支払えないために行方不明になってしまったという相談を何件も受けた。」と話しておられたのが印象的でした。それでも,最後には「新庄はとてもいいところです。」と笑っておられ,力強さと誠実さが感じられました。

 滝沢さんであれば,最上地方の住民の信頼を勝ち得ることができるだろうと思います。応援しています。がんばってください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ニュース 萩ひまわり基金法律事務所開設

 弁護士過疎地域とされる萩市・長門市・阿武町地域で3カ所目の法律事務所となる萩ひまわり基金法律事務所(萩市東田町)が6日、業務を始めた。日本弁護士連合会が弁護士過疎対策のために設けた「ひまわり基金」による開設で、県内では初めて。初代所長、小林亨弁護士(31)は「地域の方々が利用しやすい、愛される事 務所にしたい」と話す。

 少し前のニュースになりますが,2月6日,山口県萩市に萩ひまわり基金法律事務所が開設され,初代所長の小林亨さんが着任されました。山口地裁萩支部の管内人口は約10万5000人ですが,管内の法律事務所は,銀座に支店を出していることで有名な弁護士法人サリュと,萩・山口法律事務所の二つしかありませんでした。この度,萩ひまわり基金法律事務所が開設されたことで,弁護士1人当たり人口は3万5000人となり,弁護士過疎偏在の解消にまた一歩前進しました。

 萩市と隣接する島根県の西部には,石見ひまわり基金法律事務所(現・みやこ法律事務所),浜田ひまわり基金法律事務所(現・はまだ市民総合法律事務所),益田ひまわり基金法律事務所,石西ひまわり基金法律事務所と4つ(現在,稼働しているのは2つ)の公設事務所があります。また,本庁の山口市には法テラス山口法律事務所が,島根県浜田市には法テラス浜田法律事務所が開設されています。周囲の公設事務所,法テラスと力を合わせて,萩市民のためにがんばっていただきたいと思います。応援しています。

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080207-00000302-mailo-l35

中国新聞の記事
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200802050042.html

| | コメント (0) | トラックバック (1)

関弁連主催 公設事務所バスツアー

 関東弁護士会連合会(関弁連)主催の「公設事務所バスツアー」のご案内です。

 関弁連は,関東の弁護士会から構成される連合会です。関東といっても,東京高等裁判所の管轄に対応しているため,新潟や長野,静岡も含まれます。関弁連管内には,茨城(鹿嶋,神栖),千葉(銚子),新潟(上越,中越,佐渡),静岡(下田)などにひまわり基金の法律事務所が設置されています。ひまわり基金法律事務所は,弁護士過疎偏在地域に設置される事務所で,公設事務所(過疎地型公設事務所)とも呼ばれています。

 このバスツアーは,毎年,関弁連主催で行っているもので,東京から日帰りで行ける千葉,茨城の3つの公設事務所(銚子,神栖,鹿嶋)を見学するものです。このブログでも以前にもお勧めしましたが,ひまわり・法テラスの実情を知るためには,実際に公設事務所を見学して,そこで働いている弁護士の話を聞くのがいちばんです。ぜひ,バスツアーに参加してください。お待ちしています。

 なお,参加の申込みは,関弁連に直接でもかまいませんし,分からなければ桜丘法律事務所の亀井までメール(makichu@estate.ocn.ne.jp)でご連絡ください。

日時 : 2008年3月25日(火) 午前8時50分~午後6時頃
主催 : 関東弁護士連合会
対象 : 司法修習生(61期,62期),弁護士
費用 : 司法修習生は無料,弁護士は昼食代のみ負担

見学コース : (※順番は検討中です)

午前8時50分 弁護士会館1階正面玄関集合
午前9時    霞が関出発
         水戸地方裁判所麻生支部訪問
         銚子ひまわり基金法律事務所見学
         昼食(銚子市内)
         鹿嶋ひまわり基金法律事務所見学
         神栖ひまわり基金法律事務所見学
午後6時頃  霞が関着 解散

申込方法 : FAX(03-3581-7107)又はメール(a-mori@kanto-ba.org)でお申し込みください。申し込みの際には,①件名は「ひまわり基金法律事務所バスツアー参加申込」,②氏名,③司法修習期(現行・新の別),④連絡先電話番号をお書き下さい。

申込締切 : 2008年3月14日(金)

問合せ : 東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館14階
関東弁護士連合会(担当事務局:森)
電話 : 03-3581-3838
FAX : 03-3581-7107
メール : a-mori@kanto-ba.org

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ニュース 山鹿ひまわり基金法律事務所 二代目所長の岡部さんが着任

 1月30日,山鹿ひまわり基金法律事務所(熊本県山鹿市)の引継式が開かれました。

 山鹿市は,熊本県の北部,福岡県との県境に位置しています。管轄は熊本地裁山鹿支部で,人口は隣接する菊池市とあわせて13万人に達します。山鹿ひまわり基金法律事務所が開設されるまで,弁護士はいませんでした。熊本市まで約1時間の距離とはいえ,地域移住民にとっては,弁護士は縁遠いものだったに違いありません。

 現在は熊本市に本社のある弁護士法人リーガルプロが常駐の支店を開設しており,管内の弁護士は2名に増えています。ひまわり基金法律事務所と地元の弁護士法人が連携しながら山鹿市民のために取り組んでおられることは,理想的な関係といえるでしょう。

 初代所長の長谷山さんは,平成16年10月に赴任してから3年余りで600件以上の相談を受けられたそうです。多重債務はもちろん,生活保護の申請に同行するなど,採算の取れない事件に積極的に取り組んでこられました。長谷山さん自身は「難しい事件でも頼まれるとついつい受けてしまう。後任の岡部さんには申し訳ない。」 と謙遜しておられましたが,こうした地道な活動はもっと評価されてしかるべきでしょう。

 二代目所長に就任された岡部さんは,東京パブリック法律事務所のご出身です。修習地が熊本弁護士会だったために,山鹿に赴任することを強く希望されたそうです。困っている人のために働きたい,という熱い思いを持っておられます。記者会見では「一熊本県民,一山鹿市民として」とおっしゃっていましたが,そうした市民と同じ目線で物事を見ることを忘れなければ,必ずや山鹿市民の信頼を勝ち得ることだろうと思いました。

 いろいろ困難もあることと思いますが,がんばってください。応援しています。

Yamaga1

Yamaga2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

間部俊明「地域密着型法科大学院と弁護士過疎解消」法学セミナー638号(2008年2月号)

 先日,神奈川大学法科大学院で,「大量増員時代の生き方--弁護士過疎地のオンリーワン」と題して,講演とパネルディスカッションを行いましたが,その報告記事が法学セミナーに掲載されました。

 執筆してくださったのは,神奈川大学法科大学院の間部先生(弁護士,日弁連地域司法計画推進本部副本部長)です。

 当初,間部先生から依頼を受けたとき,「法科大学院」と「弁護士過疎解消」が上手くつながるのだろうかと不安でしたが,間部先生の適切な進行と,法科大学院委員長の阿部浩己先生(国際人権法で著名です。)のコメントに助けられ,エキサイティングな議論になりました。興味のある方は,記事をお読みいただければと思います。

神奈川大学大学院法務研究科講演「大量増員時代の生き方--弁護士過疎地のオンリーワン」
https://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=21044316&blog_id=267799

| | コメント (0) | トラックバック (0)