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ニュース 南相馬市が弁護士開業に補助金

 現役の弁護士不在の福島県南相馬市に、弁護士2人が相次いで開業を決めた。2人は多重債務問題がいまだに埋もれている弁護士過疎地の窮状を知り、「困っている人の手助けになれば」と名乗りを上げた。市は開設資金の一部を援助する方針で、法曹関係者によると、自治体が個人弁護士の開業を支援するのは全国で初めてという。

 2人は福島県弁護士会所属の若杉裕二弁護士(40)と西山健司弁護士(27)。それぞれ11月と来年1月に市内で開業する予定だ。

 南相馬市が独立開業する弁護士の開業資金を補助する制度を創設する予定だそうです。

 これまで,弁護士の開業支援としては,鳥取県が倉吉ひまわり基金法律事務所に200万円,鳥取ひまわり基金法律事務所に100万円を援助した前例がありましたが,ひまわり基金ではなく,一般の弁護士の独立開業に対する支援としては,全国で初めてだろうと思います。また,都道府県ではなく市町村が支援する例としても全国で初めてになります。

 南相馬市は福島地裁相馬支部の管内にあります。裁判所はありませんが,人口は相馬市よりも大きく,以前は複数の弁護士が登録し,合同法律事務所を開設していたようです。相馬ひまわり基金法律事務所は,現在多忙を極めていると聞いていますので,南相馬市に2人の弁護士が独立開業することは,地域住民にとっても朗報だと思います。

 私は,以前から,どうして県立病院があるのに,県立法律事務所はないのかと不思議に思っていました。弁護士が「社会生活上の医師」であり,「社会に不可欠なインフラ」であるなら,それを維持するコストを地域全体が負担する(つまり,税金から支払う)ことがあってもよいのではないでしょうか。もちろん,それを選択するかどうかは最終的には地域住民の判断ですが,その選択肢を提示できるかどうかは自治体の首長にゆだねられている部分が大きいと思います。

 現在の自治体の財政状況からすると,従来の事業を縮小し,予算を削減することばかりに目が向きがちですが,多くの自治体で報告されているとおり,弁護士を誘致することには大きな経済効果があります。宮古市では,宮古ひまわり基金法律事務所が開設されてから,同事務所だけで20億円以上の過払金の返還を受けました。自己破産等により減額された債務も考え合わせると,数十億円の直接的な経済効果があったと言ってよいと思います。これにより,収税率もアップしていると聞いています。もちろん,事務職員の雇用等もありますので,間接的な経済効果もあるでしょう。

 医師不足の問題も同じですが,市場原理に任せて解決できる問題と,解決できない問題があります。医師も弁護士も,何の施策も講じないと都市部に集中する傾向があることは明らかです。これには,必ずしも経済的な理由だけではなく,仕事のやりがいや負担,家族の理解,子どもの教育など,さまざまな理由があると考えられていますが,いずれにせよ,このまま放置しておいてよい問題ではありません。地域住民の生命や安全にかかわる領域では,自治体が積極的に施策を講じるべきではないでしょうか。そして,それには一定の財政負担が必要になりますが,トータルで見れば,地域住民にとって得られる利益のほうが大きいように思うのです。

 その意味で,今回の南相馬市の取り組みは画期的な制度であり,全国的に注目されるべきであろうと思います。

河北新報の記事
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/09/20080904t63022.htm

読売新聞の記事
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20080906-OYT8T00041.htm

鳥取県のホームページ
http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=48032

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