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2007年12月

コラム 裁判官の定員

 08年度予算の財務省原案について、額賀福志郎財務相と各閣僚らとの復活折衝が22日行われ、復活折衝が終了した。裁判員制度導入に備え、裁判官や書記官計175人(純増75人)の定員増などが認められた。政府は24日午前の閣議で政府予算案を正式決定する。
(毎日新聞)
 法曹人口が飛躍的に増大したのに,裁判官人口が増加していない,という指摘がしばしばなされます。

 司法制度改革審議会意見書(2002年)は,「2004年に合格者数年間1500人,2010年ころには年間3000人達成を目指すべきである」「おおむね2018年ころまでには,実働法曹人口5万人規模に達することが見込まれる」として,法曹人口の大幅な増加を提言しました。法曹人口とは,「弁護士,裁判官,検察官人口」のことですから,法曹人口の増加という場合には,「裁判官,検察官人口の増加」も含まれることになります。

 このことを踏まえ,意見書は,裁判官の定員についても「全体としての法曹人口の増加を図る中で、裁判官、検察官を大幅に増員すべきである」と提言していました。また,最高裁判所から提出されたペーパーでは「事件数がおおむね現状どおり推移するとしても,向こう10年程度の期間に500名程度の増員」が必要であり,「更に事件数が増加すれば,それに対応する増員」が必要であるとの試算が示されていました。

司法制度改革審議会意見書
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/ikensyo/index.html

最高裁判所・裁判所の人的態勢の充実について
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/dai57/pdfs/57bessi1.pdf

 では,じっさいに裁判官の定員は増えているのでしょうか。

 裁判官の定員は,2002年は45名,2003年は45名,2004年は52名と漸増し,近年は毎年75名(判事45名,判事補30名)の増員となっています。したがって,司法制度改革審議会意見書の提言した「10年間で500名+アルファ」のペースでは増えていることは間違いありません(裁判官の定員は、裁判所職員定員法で定められていますので、簡単に知ることができます。)。

最高裁判所・司法制度改革推進計画要綱
http://www.courts.go.jp/about/kaikaku/keikaku.html

法務省・裁判所職員定員法の一部を改正する法律案要綱
http://www.moj.go.jp/HOUAN/SAIBANSYO06/refer01.html

  しかし,法曹人口が毎年3000人増加するのに,裁判官定員が75人しか増加しなくて十分なのでしょうか。

 わが国の法曹人口は、1900年には弁護士1590人に対して、裁判官1244人でしたが、1950年には弁護士5883人に対して裁判官2261人となり、1997年では弁護士1万6305人に対して裁判官2841人となっています。約100年間で弁護士が10倍以上に増えているのに、裁判官はわずか2倍になったに過ぎません(金子=竹下『裁判法(第四版)』229頁)。

 司法制度改革審議会意見書によれば、実働法曹人口は10年後の2018年ころまでに5万人に達し、弁護士人口は現在の2倍近くに増加することになりますが、裁判官人口は現在の1.5倍程度にとどまると予想されます。意見書の提言した「10年間で500人+アルファ」という数字自体が果たして十分な数であったかどうかが問われるべきではないでしょうか。

 また、裁判官定員を増加させるためには、その供給源を考えなければなりません。意見書は裁判官の給源を多様化・多元化させることを提言していましたが、給源の中心として期待されていたのが弁護士任官です。日弁連も、これまで以上に弁護士任官の推進に取り組む必要があるのではないでしょうか。

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地家裁支部における司法アクセス拡充のために(第2回全国支部問題シンポジウム報告)

(司法改革最前線68号からの転載です。)

 第2回支部シンポでは,「地家裁支部における司法アクセス拡充のために弁護士・裁判所にどのような取り組みが求められているか」をテーマに,土屋美明氏(共同通信),佐藤岩夫氏(東京大学),安東章氏(最高裁判所総務局事務総局第一課長)にご出席いただいて,議論が行われた。

 裁判官の配置については,安東氏から「裁判所は,事件数,事務処理状況から見た業務量に応じ,裁判官を配置してきている」という説明がなされたのに対し,佐藤氏から「弁護士・裁判所は地域の問題解決のために固有の役割を果たしており,費用対効果の観点だけで考えるべきではない」という意見が出された。また,公設事務所に赴任した会員から「事件数が増えている支部については,裁判官を常駐させてもらいたい」という意見があった。

 刑事合議事件や執行事件の本庁集約の問題については,安東氏から「弁護士会の了解も得ずに裁判員裁判対象事件を一律に本庁に起訴する動きには,支部設置規則の趣旨に照らし改善を求めている。執行事件は当事者の出頭が必ずしも必要的ではなく,不動産競売の売却率を向上させるために,本庁に集約させている支部もある」という説明がなされた。これに対しても,公設事務所に赴任した会員から「地域の住民にとっては,執行異議等で争うことが困難になるなど不利益が生じている」「裁判員制度に協力を求めるためにも,裁判所は地域のサービスを充実させるべきではないか」との意見が出された。

 支部に裁判官を常駐させるための提案として,土屋氏から「キャリア裁判官ではなく,弁護士任官の非常勤裁判官を支部に配置してはどうか」という意見,弁護士任官等推進センターの中村雅人会員(東京)から「家事調停・民事調停については,非常勤裁判官に取り扱わせることも可能ではないか」という提案がなされた。「裁判官は毎年75名の定員増となっているが,弁護士任官を推進して支部にも配置していく必要がある」という意見もあった。

 今回のシンポジウムでは,中規模支部・大規模支部の問題について議論する時間が十分ではなかったが,地家裁支部の問題について最高裁判所と認識を共有すべく,議論する機会を持てたことには大きな意義があったと思われる。

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産経ニュース「刑事弁護態勢の確立へ 山本彰宏弁護士 法テラス和歌山」

 法的トラブルを解決するための情報提供などを行う「法テラス和歌山」(日本司法支援センター和歌山地方事務所)内に、法テラス和歌山法律事務所が開設された。東京弁護士会に所属していた山本彰宏弁護士(26)がスタッフ弁護士として着任した。

 産経ニュースに,法テラス和歌山に赴任された山本さんのインタビューが掲載されています。山本さんは刑事事件を中心に取り扱う都市型公設事務所(北千住パブリック法律事務所)で経験を積み,法テラス和歌山の本所に赴任されました。和歌山でも,「刑事事件の担い手」として期待されているようです。

 もともと,司法制度改革審議会の意見書は,裁判員裁判など連日的開廷に対応するために,「刑事専門」の「常勤弁護士」の導入を提言していました。また,司法制度改革推進本部の公的弁護制度検討会では,常勤弁護士の役割を,連日的開廷への対応,被疑者国選への対応,刑事弁護全般の質の向上と位置づけていました。

 被疑者国選の対象事件の拡大と裁判員裁判の開始を目前にして,スタッフ弁護士には,これまで以上に「被疑者国選,裁判員裁判の担い手」としての役割が期待されているといえるでしょう。そのためには,刑事事件の経験を蓄積し,弁護技術の質的向上を図るための研修や支援のスキームについても,検討する必要があるように思います。

産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/wakayama/071216/wky0712160239001-n1.htm

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朝日新聞 サラ金の一括請求の怪 弁護団結成

 貸金業者から不当に早期の「一括返済」を求められ、困っているとの相談が、県消費生活センターや法テラス青森などに相次いでいる。相談は10月下旬から増え始め、すでに県内で100件を超えた。県弁護士会に所属する弁護士22人が「不当一括請求対策弁護団」を結成し、8日に青森市で無料相談会を開く。

 弁護団によると、目立つのは県内に本支店を置く貸金業5社に絡む相談。三洋信販(本社・青森=業界大手の三洋信販とは別会社)▽ジャスト(6月に廃業)▽ジャパン▽セーブ▽ライクカード。同じグループ会社とみられ、県知事や国への登録がされている。

 また、数年前の返済の遅れを理由に「2年前に返済が3日間遅れましたね。契約違反なので一括で返済してください」などといった請求の相談もあったという。

(朝日新聞)

 東北の悪質化資金業者グループによる一括請求問題の続報が報じられています。青森県弁護士会が対策弁護団を結成し、無料相談会を開催するそうです。

 このグループ会社は東北各県に展開していますが、有名企業とまぎらわしい名前をつけることで知られています。セーブ、東急、東日本など百貨店の名前を語るものもあれば、有限会社の三洋信販やライクカードのように貸金業者を真似たものもあります。こういう紛らわしい名前をつけているため,百貨店の系列だと誤信する人も少なくありません。

 私が宮古ひまわり基金法律事務所の所長をしていたときも、たくさん相談が寄せられていました。免許証を返してもらえず監禁されたとか、無理やり貸し付けられたとか、返済を申し出ても受領してもらえないとか、社員に暴力を振るわれたとか,貸金業法に違反すると疑われる行為が多々ありました。私は、そのつど岩手県に行政処分の申告をしていましたが、岩手県はほとんど動いてくれませんでした。誇大広告を理由に15日間の業務停止を命じたことがありますが、それだけです。

 岩手県は26日(平成18年10月)、誇大広告で貸し付けの勧誘を行い貸金業法に違反したとして、盛岡市の東日本クレジット(鎌田好勝社長)を11月1日から15日間の業務停止処分にしたと発表した。利用者(債務者)からの相談に基づいて同課が7月上旬、立ち入り検査し、違反広告による勧誘事実を確認。東日本クレジットに25日付で業務停止処分を文書で通知した。

(岩手日報)

 過払い金の返還を求める集団訴訟を起こされている消費者金融「東日本クレジット」(盛岡市)の社員が、岩手県二戸市の自営業男性(45)に返済を求める際、暴行を加えてけがをさせていたことが18日、分かった。盛岡東署は被害届を受け、傷害や恐喝容疑を視野に捜査している。

(岩手日報)

 岩手県が及び腰なのは,県内有数の優良企業だからでしょう。東日本クレジットは,県知事登録の貸金業者の中では最大規模で,岩手県の法人所得ランキングでも7位にランクインしたこともあります。これだけ悪質な商法をしていれば、利益があがるのは当然でしょう。しかし、それだけ岩手県の県民は被害をこうむっているわけです。中には夜逃げをしたり、自ら命を絶ったりする人もいたことでしょう。家族が崩壊したり、犯罪に手を染めてしまった人もいたに違いありません。本来、こうした悪質な金融業者を監督し、県民の生活を守るのが行政の役割なのではないでしょうか。

 岩手県では、これまで岩手弁護士会の消費者委員会が集団訴訟などに取り組んできました。一括請求問題については、山形県弁護士会にならって、県の消費者条例に基づく申立を準備しているようです。岩手県には、毅然とした態度を示していただきたいと思います。

朝日新聞
http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000000712080004

東奥日報
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20071206150921.asp

陸奥新報
http://www.mutusinpou.co.jp/news/07120905.html

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ニュース 全国一斉多重債務者相談ウィーク

 内閣に設けられた「多重債務者対策本部」では、全国の自治体における相談窓口の整備を一層促進し、各地域の多重債務者が相談窓口を訪れる一つのきっかけとするため、本年12月10日~16日に「全国一斉多重債務者相談ウィーク」を設けることとしました。

 「全国一斉多重債務者相談ウィーク」は、多重債務者対策本部、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会が主催し、相談ウィークの期間中、都道府県と当該都道府県の弁護士会及び司法書士会が共同で多重債務者向けの無料相談会を開催いたします。

 金融庁のホームページに,全国一斉多重債務相談ウィークのお知らせが掲載されています。期間は今月10日から1週間で,弁護士会・司法書士会が共同の無料相談が開催されます。開催場所は金融庁のホームページに掲載されていますが,たとえば岩手県の場合には,県民生活センターをはじめ,岩手県内の地方振興局で開催が予定されているようです。

金融庁 全国一斉多重債務者相談ウィーク
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/week.html

産経新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000109-san-bus_all

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毎日新聞 県消費生活条例:消費者金融への是正措置求める 県に弁護士ら

 山形市内の消費者金融業者3社が借金の一括返済を強要しているとして、弁護士ら5人は4日、県消費生活条例に基づき、3社に対して是正措置を取るよう斎藤弘知事に申し出た。申し出は昨年7月の同条例施行後初めて。

 毎日新聞によると,山形県弁護士会の弁護士が県消費生活条例に基づき,是正措置をとるよう申し出たと報じられています。申し出の対象となっているのは,「借金返済のわずかな遅れを理由に消費者金融業者から突然,一括返済を迫られるというもの」で「一斉に電話での取立を始めた」ということです。弁護士会には,100件をこえる相談が寄せられているそうです。

 この業者は,おそらく東北各県にグループ展開する某消費者金融業者のことでしょう。この業者の特徴は,50万円ないし100万円を貸し付け,出資法の上限利息+アルファ(50万円の場合は1万3000円,100万円の場合は2万6000円)を支払わせる約定になっており,必ず保証人を付けるようになっていることです。約定の利息+アルファの返済では,完済までに30年近くを要し,必ず保証人に迷惑がかかる仕組みになっています。

 数年前から,免許証を返してもらず契約を強要されたとか,知人に電話を掛けて保証人を付けるよう強要されたとか,某百貨店と同名であるため誤信させられたという相談が寄せられていました。岩手県では,社員が暴力的な取り立て行為を行って,逮捕されたという事件もありました。今年に入ってからは,わずかな遅れを理由に一括返済を求められる事例が急増しているそうです(返済日が休日にあたる場合は前日に返済するという約定があるため,休日後に返済した場合に数日の遅れが発生します。)。

 こうした場合,形式的には遅滞が発生していることは否定できませんから,一括返済を拒絶するのは容易なことではなく,債務者や保証人にとっては訴訟などで争うこと自体が負担になるため,弁護士・弁護士会も対応に苦慮しているようです。今回の山形県弁護士会の取り組みは,東北各県の弁護士会にとっても参考になるのではないでしょうか。

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000074-mailo-l06

山形新聞
http://yamagata-np.jp/newhp/kiji_2/200712/04/news20071204_0057.php

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ニュース 法テラス和歌山 山本弁護士が着任

 法律に絡む紛争解決の相談窓口となる日本司法支援センター和歌山地方事務所(法テラス和歌山、吉澤義則所長)に3日、山本彰宏弁護士(26)=写真=が常勤弁護士として着任した。和歌山市十番丁の同事務所内に法律事務所が併設される。

 法テラス和歌山にスタッフ弁護士として山本さんが着任されたというニュースです。山本さんは,刑事事件を中心に取り扱う都市型公設事務所に就職し,主に刑事事件に対応するためスタッフ弁護士に就任されたそうです。記事では,「刑事弁護をライフワークにしていきたい」と語った,と報じられています。

 法テラスというと,司法過疎対策が注目されることが多いのですが,裁判員裁判や被疑者国選など刑事弁護の対応体制も,法テラスの重要な課題です。とくに2009年から裁判員裁判が導入され,被疑者国選の対象範囲が拡大されるため,その対応体制の整備が喫緊の課題となっています。日弁連,法テラスとしては,山本さんのような刑事専門のスタッフ弁護士を組織的に養成,確保することを考えなければならないでしょう。

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071204-00000269-mailo-l30

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ニュース 三沢ひまわり新規開設,十和田ひまわり所長交代

 県弁護士会は二〇〇八年二月、三沢市に公設の「三沢ひまわり基金法律事務所」を開設する。同市に法律事務所が設置されるのは初めて。初代所長となる寺島三紀子さん(29)は会見で「市民のための司法サービスを提供できるよう頑張りたい」と抱負を語った。

 また、十和田ひまわり基金法律事務所長が、一日付で林信行さん(31)から上椙(うえすぎ)裕章弁護士(36)に交代した。

 一昨日,三沢ひまわり基金法律事務所の開所式と,十和田ひまわり基金法律事務所の引継式に出席して来ました。三沢市と十和田市はともに青森地裁十和田支部の管内で,約17万人の人口を管轄しています。これまで,十和田支部管内には,十和田ひまわり基金法律事務所しかありませんでしたので,弁護士1人当たり人口は17万人となっていました(青森県は全国で最も弁護士1人当たり人口が多い都道府県ですが,それでも2万5000人程度です。)。

 三沢市には裁判所(地裁支部,簡易裁判所)はありませんが,周辺人口は8万人程度と多く,三沢警察署があることから,これまでは,十和田ひまわり基金法律事務所の林さんが頻繁に通っておられたようです。今回,三沢ひまわり基金法律事務所が開設されたことで,三沢市及び周辺市町村の住民にとっては,これまで以上に弁護士・司法にアクセスしやすくなると考えられます。とくに地方で女性の弁護士を求めるニーズがあることから,女性の弁護士が着任されたことにも意義があると思います。

 聞くところによると,三沢市は,米軍基地と六ヶ所村の核燃料保存施設の関係者として,アメリカ人とフランス人が約1万人居住しておられるとのことです。通訳人の確保の問題だけでなく,渉外離婚,渉外相続など法律上も特殊な問題が発生することが予想されますが,寺島さんには当地の実情を報告していただければと思います。がんばってください。

東奥日報の記事
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20071205200425.asp

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朝日新聞「法テラス開業1年『駆け込み寺』効果」

 市民から法律に関する問題の相談に応じている日本司法支援センターの山梨地方事務所(法テラス)が開業から1年が過ぎた。訴訟費用などの貸し出しを中心に成果を上げている。一方で、メーン業務の相談窓口の利用については伸び悩んでいる。

 朝日新聞山梨版の記事です。法テラス山梨では,民事法律扶助の利用は増えているが,相談窓口の利用は伸び悩んでいるという内容です。全国的にも同様の傾向であり,民事法律扶助の相談・事件数は,法律扶助協会の時代と比較して大幅に増加していますが,新しく始まった情報提供業務は当初予想には達していない,という結果が出ています。

 私が新鮮に感じたのは民事法律扶助を「弁護士費用の貸し出し」という表現をしていることです。たしかに民事法律扶助は償還が原則で,生活保護を受給しているか,それに準ずる場合のみ免除が認められるに過ぎませんから,まさしく「弁護士費用の貸し出し」であり「新たな借金」に他なりません。

 現行法のもとでは,生活保護を受給しているか,それに準ずる場合について償還の猶予や免除を積極的に利用するほかないと思われますが,より根本的には,諸外国並みに償還の免除要件を緩和する方向で検討が進められるべきだと思います。

朝日新聞の記事
http://mytown.asahi.com/yamanashi/news.php?k_id=20000000711270004

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朝日新聞「認知症の夫が提訴 信販が競売取り下げ」

 佐渡島に暮らす認知症高齢夫婦の自宅の強制競売を申し立てていた大手信販会社セントラルファイナンス(本社・名古屋市)が、申し立てを取り下げていたことが、26日わかった。当事者の夫から今月9日に、競売の中止や支払った金の返還などを求める訴訟を起こされていた。同社では「営業上の判断」から申し立てを取り下げたという。

 訴状によると、夫の支払いが滞ったことから強制競売にかけられることになったが、その支払いは県が業務改善指示をした布団販売会社が結んだ契約だった。夫はほぼ寝たきりの症状で、契約書は他人の筆跡だった。

 夫の代理人を務める法テラス佐渡法律事務所の冨田さとこ弁護士は「原告の家計は、強制執行停止のための担保もつめない状態だった。これで自宅が競り落とされる心配なく、訴訟に取り組める」と話している。

 今月10日に朝日新聞新潟版に「認知症の夫 信販会社を提訴」という記事が載りました。クレジット契約で布団を買わされた「認知症の夫」(この記事からは,夫が認知症であるのか,妻が認知症であるのかはっきりしない)が信販会社(セントラルファイナンス)に対して既払い金の返還等を求める訴訟を提起したというものです。

 過疎地には,こういう相談が山のようにあります。高齢者や障害者をねらって,健康食品や布団,着物などを大量に売りつけ,クレジット契約を組ませる。消費生活相談員や弁護士が介入しても販売会社は連絡が付かず,クレジット債務だけが残るという問題です。私の経験でも,年金収入しかない高齢者の自宅に着物や布団が積み上げられていて,何百万円ものクレジット債務を負わされていたということがよくありました。

 ただ,信販会社を提訴したから競売申立が止まったという事例は聞いたことがありません。信販会社が競売を取り下げたのは,朝日新聞がこの問題を報道したからでしょう。報道の力というのは大きいのだなと実感しました。

 また,こうした事件は弁護士にとっては手間がかかるわりに採算がとれない事件の代表的なものです(この事件の訴額は30万円だそうです。)。こうした事件にも取り組めるのは,法テラスのスタッフ弁護士ならではと言えます。

 こうした問題が起きないようにするためには,消費者契約法,特定商取引法,割賦販売法の改正が不可欠です。現在,割賦販売法の改正手続が進んでいますが,既払い金の返還や過剰与信の防止がどの程度実効性のある規定になるのか,注目したいと思います。

認知症の夫が提訴 信販が競売取り下げ
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000711270001

認知症の夫 信販会社を提訴
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000711100005

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福田内閣メールマガジン「司法過疎地・佐渡島に赴任して」

 この1年間、数多くの相談を受け、事件を処理しました。毎日のように、約1キロ離れた裁判所に通っています。また、自宅が競売にかかってしまったという相談に、相談者の自宅に駆け付けたこともあります。現在担当している事件は100件を超えます。目の回るような忙しさで、大きな需要を前に、改めて司法過疎の深刻さを目の当たりにする毎日です。

 ついに福田内閣メールマガジンにも登場しました。法テラス佐渡の冨田さとこさんです。私も先日法テラス佐渡を訪れましたが,事務所が市役所の旧庁舎の中にあり,地域包括支援センターなど関係機関と連携しながら,地域に密着した活動を行っているように思われました。

 昨日の全国支部問題シンポジウムで,「釜石市の住民のうち,法テラスを知っているのはわずか7.8%」という調査結果が紹介されていましたが,法テラスの事務所が設置されている地域と,されていない地域では,法テラスの知名度はもちろん,弁護士や裁判所の利用度も全く違ってくるだろうと思います。弁護士がそこにいる,ということの意味は計り知れないものがあると思います。

http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2007/1129/1129konohito.html

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