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2007年11月

第2回全国支部問題シンポジウム

 12月1日に「第2回全国支部問題シンポジウム」が開催されます。全国各地の「地方裁判所支部」の問題を議論し,支部を充実させるためにどうすればよいかを考えるシンポジウムです。私もパネリストの一人として,盛岡地裁宮古支部の実情について発言する予定です。

日時  2007年12月1日(土)午後1時30分から午後4時30分

場所  弁護士会館17階1701会議室

主催  裁判官制度改革・地域司法計画推進本部

進行 (1) 基調報告と問題提起

    (2) パネルディスカッション等 

     佐藤岩夫氏(東京大学社会科学研究所教授)
     土屋美明氏(共同通信社論説委員)
     安東章氏(最高裁事務総局総務局第一課長)
     田岡直博氏(弁護士,前宮古ひまわり基金法律事務所所長)
     飯孝行氏(弘前大学人文学部準教授)

 日弁連は,これまで弁護士過疎地に公設事務所の設置を進めてきました。それにより,弁護士過疎地にも需要があることが確認されました。しかし,弁護士が増えても裁判所が充実しなければ,司法アクセスは改善されません。裁判所・検察庁の人的物的体制(司法基盤の整備)を充実させることが次の課題として浮かび上がって来ました。

 考えてみれば,司法制度改革により導入された新制度のほとんどは,都市部を対象としています。裁判員裁判などの国民の司法参加の制度,労働審判,知財高裁などの専門訴訟への対応強化の制度,更には法科大学院(ロースクール)もほとんどが都市部に集中しています。東北では,仙台にしか法科大学院はありません。これでは,都市部と地方の格差が司法制度の面でも進行し,地方の住民はますます司法制度にアクセスしづらくなってしまうことでしょう。

 こうした時期に,地方裁判所支部の問題を議論するためのシンポジウムが開催されることは大きな意味があると思います。また,最高裁判所にご出席いただけることも画期的なことです。法曹三者の内輪の議論ではなく,利用者である国民の視点に立って,どのような裁判所,司法制度が求められているのかを議論する,建設的なシンポジウムにしたいと考えています。

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ニュース 「法テラス和歌山」開設1年

 経済的に困難な人を対象に法的トラブルの解決を手助けしようと、昨年10月に開設された日本司法支援センター和歌山地方事務所(法テラス和歌山、吉澤義則所長)。業務開始から1年で3000件近い相談が寄せられ、「開かれた司法」を目指す活動は軌道に乗り始めた。一方で、活動内容の周知が十分とはいえず課題も残る。

 法テラス和歌山には,消費生活相談員の資格を持つ職員がいるため,外部機関に紹介せずに法テラスで対応するケースが全体の3割を占めているそうです。また,職員が業務の合間に市役所など行政機関の窓口担当課を訪ね,業務紹介を行っているそうです。

 法テラスが単に情報提供や外部機関の紹介にとどまらず,紛争解決まで行っているのは素晴らしいですね。消費生活相談員やスタッフ弁護士が対応できるものは法テラスが対応し,法テラスで対応できないものについては,外部の弁護士や司法書士に紹介し,連携して解決にあたる,という役割分担が望ましいと思います。

 法テラスが関係機関とのネットワークの拠点としての役割を果たしている,といえるでしょう。

 毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071118-00000264-mailo-l30

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ニュース つがるひまわり基金法律事務所 開所

 県弁護士会と日本弁護士連合会などが共同で開設する「つがるひまわり基金法律事務所」(五所川原市)に着任する北川靖之弁護士(32)が13日、五所川原市内で記者会見を開き、「市民から頼りにされる弁護士になりたい」と抱負を述べた。
 滋賀県米原市出身の北川弁護士は、大阪大を卒業後、スポーツウエア会社に就職し、営業職を経験。05年10月に弁護士登録し、大阪市内の法律事務所に所属していた。

 青森県は,弁護士一人当たりの人口が全国で最も多い都道府県です(弁護士一人当たり人口は2万4502人)。青森地裁には,青森本庁のほかに,八戸支部,弘前支部,十和田支部,五所川原支部がありますが,管内の弁護士数は,それぞれ,青森本庁30人,八戸支部14人,弘前支部11人,十和田支部1人,五所川原支部3人となっています。

 十和田支部の1人は,十和田ひまわり基金法律事務所,五所川原支部の3人はさくら総合法律事務所(旧・五所川原ひまわり基金法律事務所)に所属しています。つまり,どちらの支部もひまわり基金の援助を受けて設置された法律事務所です。

 この度,五所川原支部に「つがるひまわり基金法律事務所」が開設されました。いわゆる「第二公設事務所」です。これにより,五所川原支部にも二つの法律事務所ができました。また,来年1月には十和田支部管内の三沢市に,三沢ひまわり基金法律事務所が開設される予定になっています。

 利益相反を回避し,双方当事者に代理人を選任する機会を与えるためには,裁判所支部の管内に法律事務所が二つあることが必要です。つがるひまわり基金法律事務所の開設には,大きな意味があると思います。北川さん,がんばってください。

毎日新聞の記事
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20071106ddlk02040063000c.html

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071114-00000030-mailo-l02

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司法試験合格祝賀会 ~日本司法支援センターガイダンス~

 司法試験の合格祝賀会と,法テラス(日本司法支援センター)のガイダンスが開かれます。法テラスに関心のある司法試験合格者(司法修習予定者)の方は、ぜひご参加ください。
 私は、当日、合格祝賀会の司会を務める予定です。ひまわり、法テラスについて質問があれば、声をかけてください。

日時 2007年11月20日(火)
    ① 法テラス説明会 17時45分~18時15分
    ② 合格祝賀会   18時30分~20時30分

会場 ① 弁護士会館2階  講堂クレオBC
    ② 弁護士会館2階 講堂クレオA
              東京都千代田区霞が関1-1-3
       (地下鉄霞ヶ関駅B1-b出口直結)

対象 平成19年現行司法試験合格者(現行62期司法修習予定者)

主催 日本弁護士連合会(ガイダンス共催・日本司法支援センター)

問合せ先 日本弁護士連合会業務部業務第2課
       TEL 03-3580-9921 FAX 03-3580-2866

http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/attorneys/071120.html

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ニュース 新谷泰真弁護士に聞く

--今年2月の着任以来、法律相談の大半が消費者金融などのからむ多重債務の問題だと聞きました。
 これまで8カ月間に受けた相談の8割近い約250件が多重債務です。日弁連のひまわり基金などの援助で当事務所が開設された平成16年以降では、全相談の約75%を占める約1450件。利息制限法の上限金利を超えて地域の人が不当に取られた「過払い金」を裁判で回収した総額は、16億9400万円に達しました。おそらく、これも氷山の一角にすぎません。

 朝日新聞の岩手版に新谷弁護士のインタビューが掲載されています。新谷弁護士は,宮古ひまわり基金法律事務所の後任で,桜丘法律事務所の後輩でもあります。

 相談の75%が多重債務と聞くと,多重債務の相談が多いという印象を受けますが,一般民事の相談も決して少ないわけではありません。25%は一般民事の相談ですから,3年間で500件近くの相談があったことになります。むしろ,多重債務事件があまりにも多いので,一般民事や刑事事件の多さが目立たないだけだと言えるでしょう。

 どうして,そんなに多くの多重債務事件を処理できるのか。その鍵は,宮古市や宮古地方振興局,信用生協釜石事務所などの関係機関との連携にあります。新谷弁護士のインタビューにあるように,税務課で税金の滞納に気づいたら,市民相談室に相談が回され,消費生活相談員が事情を聴き取った上で,弁護士に紹介するという仕組みになっています。

 こうした行政との連携がうまくいっている地域では,より多くの相談を受けることができ,より多くの市民の救済に役立っているということがいえると思います。特に弁護士が不足している地域では,弁護士だけでなく,地域の関係機関によるネットワークによる対応が求められていると言えるでしょう。

--多重債務で苦しんでいる人にいま呼びかけたいことは。
 借金のことを話すのは抵抗もあるでしょうが、一人で悩んでも解決しない。まず専門家に相談してほしい。今は当事務所の相談も1カ月半から2カ月待ちで、本当に心苦しいのですが。

 それでも相談の予約が1か月半から2か月待ちというのですから,まだまだ弁護士が足りているとは言えません。宮古ひまわり基金法律事務所では,法テラスの地域事務所をの設置を求めていますが,いつ設置されるかも分かりません。宮古市役所をはじめ地域住民は,弁護士が来てくれるのを待ち望んでいると思います。求められている場所で働くことのやりがいは,何事にも代え難いことです。近い将来に弁護士が現れることを期待したいと思います。

朝日新聞の記事
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000000711110005

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ニュース  京丹後市「支援室」に感謝の手紙

 深刻な社会問題の自殺や多重債務に対処するため、京都府京丹後市が今春開設した「多重債務相談・支援室」の相談者から、「命を救われた」との趣旨の感謝の手紙が、このほど寄せられた。

(京都新聞)

 京丹後市の多重債務相談室に感謝の手紙が寄せられた,というニュースです。こういうニュースはいいですね。現場の地道な活動に光を当てるとともに,潜在的な相談者に対して相談を促すきっかけになります。宮古ひまわり基金法律事務所も,クローズアップ東北で取り上げていただいてから,東北各地から多重債務の相談が急増しました。

 金融庁は,平成19年4月20日に多重債務問題改善プログラムを発表しました。プログラムでは,地方自治体の相談窓口を充実させ,改正貸金業法施行時(おおむね平成21年末をめど)には,どこの市町村に行っても適切な対応が行われることを目指すとされています。京丹後市の相談室も,こうした金融庁のプログラムに則って設置されたもののようです。

 また,このプログラムでは,都道府県に多重債務対策推進本部を設置し,弁護士や司法書士との連携の強化を図ることとされています。行政の相談窓口も単に弁護士を紹介するだけではなく,相談担当者が事情を聴き取った上で,弁護士にアポイントをとる,という積極的な紹介の仕組みが推奨されています。

 多重債務問題の解決は,多重債務者の生活を守り,立ち直りを支援することを目的としますが,それにとどまりません。生活に余裕が出ることで,トラブルが減少したり,地域経済に貢献したりすることもあるでしょう。個人事業者や企業が再生することにより,地域経済の活性化や雇用の創出につながりることもあるでしょう。過払金の回収により,税金や保険料の納税率を高めることにつながることもあるでしょう。こうした様々な波及効果が期待できるのですから,多重債務問題の解決は地域の再生につながる,と言っても過言ではないでしょう。

 京丹後市のように多重債務問題に積極的に取り組む自治体が増えることを期待したいと思います。

京都新聞の記事
http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2007110900096&genre=A2&area=K60

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ニュース 認知症の夫,信販会社を提訴

 佐渡島に暮らす認知症の高齢夫婦の自宅が来年初め、大手信販会社により強制競売にかかる見通しだ。支払いが滞ったためとみられるが、その支払いは、県が業 務改善指示をした布団販売会社が結んだ契約だった。夫は9日、信販会社に対し、強制競売の中止と、すでに支払った金の返還や慰謝料の支払いを求め、新潟地 裁佐渡支部に提訴した。認知症が悪化した夫の代理人として、日本司法支援センター「法テラス」が動いた。

(朝日新聞)

 佐渡に住んでいる高齢者夫妻が,布団打ち直しのクレジット代金を支払えないために自宅を競売にかけられたというニュースです。朝日新聞の記事によると,布団の販売会社は,昨年行政処分を受けたため,現在は事業を行っていない。クレジット会社は,わずか31万5000円の代金の支払いのために,自宅まで差し押さえて強制競売を申し立てている。契約書は名前は妻の筆跡で,あとは他人が書いている,年収や家族構成は空欄だった--ということです。

 地方の公設事務所や法テラスには,こうした訪問販売の相談がたくさん寄せられています。布団や着物,健康食品,床下換気扇が代表的ですが,珍しいものになると太陽光発電パネルなんてのもあります。ほとんどの場合,高齢者が断り切れずにクレジットの契約書に判子を押して,必要もない商品を,法外な金額で買わされています。親族やヘルパーが自宅を訪問して,はじめて被害が発覚します。「次々販売」と言われるように,複数のクレジット契約を組まれているケースも多いです。

 私が経験したものでは,合計2000万円以上のクレジット契約を10数本組まされているケースがありました。なお,商品は着物でしたが,すべて未開封で部屋の隅に積み上げられていました。このような問題が生じるのは,クレジット会社がほとんど審査をせずにクレジット契約を通してしまうからです。過去に支払いが遅れたことがなければ,他社の債務額などは全く審査しないのがクレジット会社の実情です。

 こうした相談は,まず都道府県や市町村の消費生活相談員に持ち込まれます。そして,消費生活相談員があっせんし,販売会社が赤伝処理に応じればクレジット契約は解約できます。しかし,この事件のように販売会社が廃業しているときには,解約に応じないことが多いです。そのため,弁護士が代理人として信販会社との交渉,訴訟にあたる必要があります。

 これまでにも,消費生活相談員から依頼を受けて,交渉,訴訟することがありました。しかし,この夫妻のように収入がほとんどなく,代金額も少額である場合には,弁護士が受任を躊躇していたのも事実でしょう。クレジットの解約交渉は手間がかかわるわりに,報酬が少ないからです。その意味で,こうした訪問販売などの消費者被害は,公設事務所や法テラスが取り組むべき事件である,ということができます。

 加えて,公設事務所や法テラスの場合には,行政機関との連携が取りやすいという利点があります。この夫妻も市消費生活センターが相談を受けて法テラス佐渡に紹介し,法テラス佐渡が地域包括支援センターと連絡を取り合って自宅を訪問した,ということのようです。弁護士が行政機関と連携して,被害救済にあたるモデルケースと言えると思います。

 近年,事前規制型の社会から,事後監視救済の社会へと転換するというスローガンのもと,どんどん規制が緩和されています。そのため,こうした違法な販売会社を取り締まることが難しくなっています。この販売会社も県から行政処分を受けていますが,そのときにはすでに多数の被害者が生じていたと思われます。そうした多数の被害者は,いったいどこに相談したのでしょうか。そして,クレジット代金は返してもらえたのでしょうか。

 現実には,弁護士に相談したり,訴訟を起こしたりするには,多くの困難があります。「社会的排除」の概念が示しているように,多くの被害者は司法制度にアクセスすることが困難な状況に置かれているのです。そうした困難を乗り越えられた(たまたま熱意ある相談員や弁護士に巡り会えた)幸運な一部の人だけが救済されている,というのが現在の実情でしょう。

 そのためには,まず規制のあり方を改善しなければなりません。具体的には,悪質な販売会社の契約についてクレジット会社に責任を負わせるなど,特定商取引法の改正が求められることになるでしょう。しかし,そうした改正がなされるまでは,個別救済によらざるを得ません。そうした個別救済を実効的にするためには,弁護士と行政機関とのネットワークが重要になってくると思います。その際に,公設事務所や法テラスが果たすべき役割は大きいと言うべきでしょう。この佐渡の事例は,そうしたネットワークのひとつのモデルになり得ると思います。

朝日新聞の記事
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000711100005

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コラム 女性弁護士過疎問題

 わが国に女性の弁護士が誕生してから60年以上が経ち,女性弁護士も増えてきました。しかし,まだまだ圧倒的多数は男性弁護士であり,女性弁護士の比率は2割にも達していません。しかも,女性弁護士は大都市に集中しており,ほとんどの都道府県では1割以下にとどまっています。函館弁護士会のように女性弁護士がゼロの単位会もあります。つまり,女性弁護士の「過疎偏在問題」があるわけです。

 「弁護士は男性も女性も同じだ」という意見もありますが,女性の相談者が女性弁護士を求めるニーズがあることは間違いないようです。女性弁護士が所長をつとめる公設事務所は,家事事件の相談比率が高く,遠方から女性弁護士に相談するために来所する相談者も少なくない,と聞いています。とくに離婚やDVの相談や,性犯罪の被害者の相談などは,女性弁護士の方が適切であると言えるでしょう。

 では,どうして女性弁護士が都市に集中するのかと考えると,これまで,弁護士の主たるクライアントが企業であり,企業経営者に男性弁護士を求めるニーズがあったことが考えられます。他方,女性弁護士には家事事件の相談が多く,平均所得も男性弁護士より低かったとも言われています。ただ,それ以外で重要なのは,妊娠・出産・育児のため経営者になることに不安があったからでしょう。そのために多くの女性弁護士が共同経営者か勤務弁護士であり,単独経営者は少なかったようです。夫婦共同経営の事務所が多いことも,このことを示していると言えるでしょう。 

 妊娠・出産・育児は女性弁護士のみならず,自営業者である女性にとって避けがたい障害の一つですが(障害という表現に異論があり得ると思いますが,ここでは,このように表現することをご容赦ください。),そのために女性弁護士の地方への進出が妨げられ,地方の女性相談者が女性弁護士にアクセスすることができないとしたら,ゆゆしき問題です。女性弁護士個人の問題にとどまらず,司法アクセス及び男女共同参画という観点から日弁連が取り組むべき課題であると言えるでしょう。

 私は,公設事務所や法テラスが,こうした課題を解決する鍵になると考えています。公設事務所や法テラスは任期付きですから,受任事件を他の弁護士に引き継ぐことができます。したがって,2年ないし3年公益的事件に取り組んで,その後一定期間は休業する,という働き方が可能になります。また,法テラスの場合には,育休や産休をとることも可能です。実際に,ひまわりや法テラスのスタッフに占める女性の割合は,2割から3割に達しており,地方の弁護士会に占める割合を大きく上回っています。

 ただ,現実には,所長弁護士一人の事務所では休業することが難しい,という問題があります。しかし,本来,こうした問題は女性弁護士に限らず,怪我や病気の場合にも起こり得ることです。言い換えれば,公設事務所や法テラスの誕生により,新しい弁護士のスタイルが生まれている。こうした新しい弁護士のスタイルにあわせて,日弁連や法テラスが制度を整備しなければならない,という問題に直面しているのだろうと思います。

 私は,日弁連や法テラスが一定数の「遊軍弁護士」を確保し,緊急事態が発生したときに派遣できる体制を整備すべきだと考えています。所長弁護士に緊急事態が発生した場合,まずは地元弁護士会がまず支援に当たるはずです。所長弁護士の相談に乗ったり,事件を引き取ったりという支援が考えられるでしょう。しかし,地元弁護士会で対応できない場合には,日弁連や法テラスが速やかに後任弁護士を派遣する必要があります。

 もっとも,一定期間の休業すれば復帰できるため後任弁護士までは必要ない場合や,後任弁護士が確保できない場合もあります。こうした場合に,所長弁護士の業務をサポートするため,速やかに弁護士を派遣しようというわけです。これが「遊軍弁護士」のイメージです。

 こうした制度があれば,所長弁護士が怪我や病気のため入院したり,女性弁護士が妊娠・出産のため休業することも可能になります。そのため,所長弁護士は安心して日々の業務に取り組めます。この制度はまだ構想段階ですが,こうした制度があって初めて,公設事務所制度が完結することになるのだろうと私は考えています。

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ニュース 山梨県弁護士会 都留に公設事務所の設置を検討

「弁護士過疎」 と言われる甲府地裁都留支部の近くに、県弁護士会が県内でも初めてとなる公設による弁護士事務所の設置を検討していることが23日、わかった。

(朝日新聞)

 山梨県弁護士会が都留にひまわり基金の公設事務所を検討しているそうです。

 山梨地方裁判所は,本庁のほかに,都留支部しかありません。ほとんどの弁護士が甲府市内に事務所を置いており,都留支部の管内には弁護士が一人しかいません。その一人も富士吉田市に事務所を置いているため(富士吉田市には独立簡裁が設置されています。),都留市は弁護士が全くいない状態です。

 都留に公設事務所が設置されると,山梨県で初めての公設事務所になります。現在は富士吉田市の方が人口が多く,政治経済の中心も移っているようですが,都留市に公設事務所が設置されることの意義は小さくないと思います。

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ニュース 「偏在」解消へ事務所開業資金など援助

 弁護士が都市部に集中し地方では足りない「弁護士偏在」の解消を目指し、日本弁護士連合会が経済的支援策に乗り出す。

 個人事務所を開いて地方に定着する弁護士に開業資金を貸したり、こうした弁護士の養成に協力する事務所に費用の一部を助成する内容で、5年間で約10億円の予算を見込む。来年1月の本格実施に先立ち、第1号の個人事務所が今月、福島県いわき市に開設された。日弁連は「全国津々浦々まで弁護士にアクセスできるようにしたい」と話している。

(毎日新聞)

 日弁連は,2007年8月の理事会で「弁護士偏在解消のための経済的支援策」のパイロット事業を承認し,12月の臨時総会に本制度の提案をする予定です。この制度は,弁護士偏在地域(弁護士1人当たりの人口が3万人以上の地域など)に定着する弁護士を支援するため,事務所開設費用や運営費用を援助する制度です。また,定着する弁護士を養成するための養成事務所や各ブロックの拠点事務所を支援する制度も含まれています。

 「ひまわり基金」の弁護士過疎対策が「過疎地域」(ゼロワン地域が中心)を対象としているのに対して,この制度は「偏在地域」を対象としており,適用囲が広くなっています。また,支援の目的も「ひまわり基金」は公設事務所の設置が中心でしたが,この制度は「定着」を目的としています。更に,支援の内容も「ひまわり基金」は援助でしたが,この制度は「貸付」であり返還が原則になっています。

 近年は大量増員の影響か地方に定着を希望する弁護士も増えているようです。法テラスや公設事務所だけでなく,「Uターン」「Iターン」など多様な支援メニューを用意することで,複合的な弁護士過疎・偏在対策を構築することが求められているといえるでしょう。

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071027-00000046-mai-soci

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ニュース 法テラス奄美が開所

 日本司法支援センター(愛称・法テラス)の法テラス奄美法律事務所が1日、奄美市名瀬小浜町に開所した。東京から赴任した弁護士の鳥生(とりゅう)尚美さん(29)は「気軽に相談できる事務所にしたい」と話している。

(西日本新聞)

 鹿児島県の奄美大島(名瀬市)に法テラスの事務所が開設されました。名瀬市には,ひまわり基金の公設事務所と,ひまわり基金の支援を受けて定着した弁護士を含め,3名の弁護士がいました。しかし,刑事事件や多重債務など市民の弁護士を求めるニーズは大きかったようです。とくに多重債務者問題は深刻で,名瀬市役所の禧久さんの取り組みは,全国的にも有名になりました。

 今回,法テラスの事務所が開設されたことで,より深く,より広いニーズにも対応できるようになると思います。公設事務所や定着支援の弁護士と連携しつつ,名瀬市役所との連携や,島嶼部の出張相談などにも取り組むことが期待されていると思います。がんばってください。

奄美ひまわり基金法律事務所
http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/syoukai36.html

西日本新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071102-00000012-nnp-l46

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ニュース 法テラス 静岡県沼津市と下田市に事務所を開設

 日本司法支援センターの法テラス・下田法律事務所が下田市東本郷町に開設され、22日、業務を開始した。県内では静岡、沼津、浜松市に次いで4番目の開設で、司法過疎地を対象とした法テラスは県内で初めて。

 法テラスの弁護士の任期は3年。初代の遠藤真吾弁護士(33)は埼玉県庁勤務を経て04年に司法試験に合格した。「多重債務問題解決のほか、教育、福祉、税務などの専門家や『ひまわり』の弁護士と情報を交換し、地域住民の役に立ちたい」と抱負を語った。

(毎日新聞)

 静岡県下田市は,2005年5月に「下田ひまわり基金法律事務所」が設立されましたが,「その弁護士需要には必ずしも十分に追いついているとはいえない状況がある」とされ(静岡県弁護士会),弁護士の増員が求められていました。静岡県弁護士会は独自に「下田地域・掛川地域において弁護士を定着させるための支援制度」を設置し,弁護士の定着に向けて取り組んで来ました。こうした経緯から,この度,法テラスの4号事務所が設置されることになり,遠藤弁護士が赴任することになりました。

 法テラスのスタッフ弁護士が4名配置されているのは埼玉県と静岡県だけです。その中でも,事務所が同一県内に4か所に設置されているのは,静岡県に限られます(静岡,沼津,浜松,下田)。これには,裁判員裁判が実施される支部が,静岡県には2か所(沼津,浜松)あるということも影響している,と言えるでしょう(同一県内に裁判員裁判を実施する支部が2か所あるのも,静岡県だけです。)。

 また,「ひまわり」と「法テラス」の両方が設置されている地域は,浜田,鹿屋,奄美の3か所です(なお,倉吉は「倉吉ひまわり」から定着した弁護士が1名,「鳥取ひまわり」の支店に赴任した弁護士が3名います。また,佐渡は「ひまわり」の弁護士を募集中です)。弁護士過疎地域における,「ひまわり」と「法テラス」の共存のモデルとしても注目されると言えるでしょう。

下田ひまわり基金法律事務所
http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/depopulation/syoukai46.html

静岡県弁護士会「下田地域・掛川地域において弁護士を定着させるための支援制度」
http://s-bengoshikai.com/simodakakegawa/naiyou.htm

毎日新聞の記事「法テラス沼津:常勤弁護士配置 高崎さんが抱負」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071027-00000066-mailo-l22

毎日新聞の記事「法テラス下田:初代弁護士に遠藤さん 『地域住民の役に』と抱負」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071023-00000062-mailo-l22

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ニュース 国選弁護報酬増額

 法務省は1日、刑事裁判で被告が無罪となった国選弁護人に対する報酬を最大2倍にするなど、国選弁護人の報酬を一部引き上げた。

 富山県氷見市の冤罪(えんざい)事件などでは、国選弁護人の消極的な対応が批判されており、日本弁護士連合会(日弁連)は報酬増額を求めていた。

(読売新聞)

 国選弁護報酬の支払いは,従来は裁判所が行っていましたが,2006年10月から法テラスが行うことになりました。それ基準の明確化と②労力比例の二つの観点から新たな支払基準が定められましたが,国選弁護事件の大半を占める簡易な事件については報酬が切り下げられました。また,交通費や謄写費用などの実費すら支給されないため,弁護士・弁護士会から不満が高まっていました。

 日弁連は,「国選弁護報酬改善のための基本指針」を発表し,報酬増額のための運動を続けて来ましたが,この度,日弁連の要求の一部が受け入れられ,2007年11月1日から報酬基準が改正されました。具体的には,①否認事件等についての謄写費用(1枚20円),②無罪による加算(全部無罪は100%加算,一部無罪は50%加算,縮小認定は30%加算),③現場確認,打合せ等のための交通費等,④診断書の作成量等(3万円を限度に実費)などです。

 法テラスの設立によりスタッフ弁護士が誕生しましたが,すべての国選弁護事件をスタッフ弁護士が行うことは現実的ではありません。また,弁護士のあり方としても,望ましいことではないでしょう。スタッフ弁護士とジュディケア弁護士が相互に連携し,協力しながら,国選弁護業務を支えていかなければなりません。その意味で,ジュディケア弁護士が十分な弁護活動を行うための報酬を確保することは必要不可欠であると言えるでしょう。

 しかるに,現状の支払基準は実費さえ支払われないもので,きわめて不十分であると言わざるを得ません(たとえば,司法協会の謄写費用は1枚40円ですが,現状の支払基準では1枚20円しか支払われません。)。2009年の被疑者国選弁護の対象範囲の拡大と裁判員制度の導入を見据えて,適正な国選弁護報酬を目指した運動が引き続き求められるように思います。

日弁連国選弁護報酬改善の基本指針
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/070823.html

読売新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071101-00000212-yom-soci

毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071031-00000019-mai-pol

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事務所説明会 桜丘法律事務所

 「桜丘法律事務所」の事務所説明会のご案内です。

 所長の櫻井光政弁護士は,日本型公設弁護人事務所の提唱者で,2001年に紋別ひまわり基金法律事務所の初代所長として,松本三加加弁護士を輩出しました。

 現在,出身の弁護士が,紋別ひまわり基金法律事務所,宮古ひまわり基金法律事務所,相馬ひまわり基金法律事務所,輪島ひまわり基金法律事務所,法テラス佐渡法律事務所で活躍しています。

 事務所説明会では,所長の櫻井光政弁護士から,公設事務所・法テラスについて,神山啓史弁護士から,刑事弁護についてお話しがあります。

日時 2007年11月12日 18時00分~

会場 法学館5号館124教室

主催 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6 渋谷協栄ビル3階
    桜丘法律事務所(担当 石丸)
    TEL: 03-3780-0991 FAX 03-3780-0992

参加方法 件名を「事務所説明会参加希望」として,①名前,②メールアドレス,③懇親会参加希望の有無を,石丸(ishimaru@sakuragaoka.gr.jp)宛てにご連絡ください。

桜丘法律事務所
http://www.sakuragaoka.gr.jp/

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